ゼレンシキー宇大統領、多重国籍取得を可能とする法案をウクライナ国会に提出へ
ウクライナのゼレンシキー大統領は22日、最高会議(国会)に多重国籍制の導入を可能とする法案を提出すると発表した。
ゼレンシキー大統領が1月22日に制定されている「ウクライナ統一の日」に合わせて公開した祝賀メッセージ動画において伝えた。
ゼレンシキー氏は、「今日私は、法律の包括的改正を採択し、多重国籍制を導入することを可能とする法案をウクライナ最高会議に提出する」と発言した。
その際同氏は、それにより世界各地の民族的ウクライナ人とその子孫がウクライナ国籍を取得可能となるとしつつ、「当然、侵略国の国籍者以外だ」として、ロシア国籍保有者は除外されることも指摘した。
さらに同氏は、現在ウクライナ人はこれまでのようにドニプロ川の両岸の団結のためだけに戦っているのではなく、ウクライナ人の団結は、ウクライナ・ディアスポラの暮らす世界の北半球と南半球の両方をまとめているとし、ディアスポラの人々はウクライナ起源の強さを行動で示し、ウクライナ国籍を得る権利を証明したと発言した。
同氏は、多重国籍制の導入により、過去の様々な移住の時期にウクライナの地を離れざるを得なくなった人々がウクライナ国籍を取得できるようになると強調した。
また同氏は、ウクライナの防衛のために立ち上がった外国人志願兵もウクライナ国籍を取得できるようになるとも伝えた。
同氏は、「ウクライナにいることが『家』にいることを意味すると感じている者皆のためだ。旅行者ではなく、国民だと。大きく、団結した、一つのウクライナの国民。私たちが戦っている自由のため。ウクライナ人となる権利のために戦っている。そして、当該決定は、そのような自由の要素の1つであり、そのような権利実現の機会の1つだ。ウクライナ人になる権利だ」と強調した。
これに先立ち、昨年12月、ゼレンシキー大統領は、多重国籍制導入の案を肯定的に見ていると発言していた。
また、ゼレンシキー大統領は、2020年1月、多重国籍改革を適切に行うことで、国外の才能あるウクライナ人のウクライナへの帰還を促進することになると発言していた。同時に、ゼレンシキー氏は、2021年9月には、ロシアがクリミアで過去20年間かけてロシア国籍をばら撒いてきたこと、ドンバス一部被占領地でも占領開始後に約60万の国籍をばらまいていることから、多重国籍問題は「複雑な問題」となっているとも指摘していた。