ロベルタ・メツォラ欧州議会議長
欧州議会選挙後も建設的で親欧州的多数派がウクライナを支援していくだろう
2024年5月9日の「ヨーロッパの日」、欧州議会議長のロベルタ・メツォラ氏が事前告知なくウクライナを訪問した。メツォラ氏は、ウクルインフォルムの短時間インタビューの際に、欧州議会選挙のウクライナ支援へのあり得る影響、ウクライナが主導する初回「平和サミット」の際に決定を模索する上での3つの側面について語り、またロシア連邦におけるいわゆる「選挙」後のウラジーミル・プーチンの正当性に関する質問にも回答した。
聞き手:イェウヘン・マテュシェンコ
写真:オレクサンドル・バンニー
私たちはウクライナ支援のために多くのことを行ったが、さらに多くのことを行わねばならない
あなたは、戦争開始後にウクライナを支持するために訪問した最初の西側政治家でした。今は何を目にしていますか? ウクライナはどのように変わりましたか? そして、欧州はどう変わりましたか?
私は、ここへ戻ってこられてとても嬉しいです。私が最初にここへ来た2022年4月1日、キーウは空っぽで人がいませんでした。私は、ウクライナを目にして、町を歩き、普段からこのようなのだろうかと考え込みました。しかし、今日私は再びここへ来て、全く異なる町の姿を目にしています。
私は、ロシアがウクライナに対して始めた違法でいわれのない不当な戦争が2年以上経つ今、苦しみ、苦しみ続けている町を目にしています。しかし、私はまたここで、これが自分たちの生活なのだと主張し続ける、ウクライナの人々の心も感じています。ここは、ウクライナの人々がとても愛し、自らの価値に従って、たとえ素手であろうと、守り続けていく町なのです。
ウクライナ人は、欧州と欧州の人々の支援に感謝しています。しかし、今、その支援がいくつかの困難にぶつかっているように見えます。EU加盟国の中には、私たちの戦争に疲れている国があるように思えますし、中には、スロバキアのように、私たちを協議に向かうよう呼びかける国もあります。あなたがキーウへ訪れたのは、ロシアとの和平に関する潜在的可能性を協議するためでしょうか? それとも、反対に、ウクライナの強靭性を励ますためでしょうか?
もうすぐ、このインタビューの後に、私はゼレンシキー大統領との会談へ向かいます。私たちは今、6月にスイスで開催される「平和サミット」を準備しています。そのサミットは、10項目からなる和平計画を協議する重要なものとなります。私たちにとっての平和は、非常に明快です。それは、領土一体性が保全された、尊厳のある、公正な平和でなければならない。協議テーブルの外でウクライナ抜きにウクライナについては何も決めない。それは、最初からわかっていたことです。
決定の模索には、3つの側面があり、それに応じて私たちは状況を改善する、あるいはその方向に進んでいきたいと思っています。
1つ目は、核の安全保障です。今日、私たちは、電力施設への攻撃を目にしました。ロシアは明らかにあなた方の重要インフラを攻撃しています。
第2が、食料安全保障です。もし世界中が今後もウクライナに依存していくなら、私たちは、ウクライナが世界に食料を提供することを助けなければなりません。その認識は、次第にはっきりしてきています。
3つ目。財政、外交、軍事の支援の観点からは、私たちは多くのことを行ってきましたが、しかし、私たちははるかに多くのことをせねばなりませんし、私たちの責任は、ウクライナ人はウクライナのためだけに戦っているのではない、ウクライナは欧州のために戦っているのだと主張し続けることです。ロシアの次の標的になるのが誰か、誰にわかるのでしょうか?
私は、初日からウクライナ支持を約束した国々の間に、それほどの疲れは目にしていません。私は、(EU)加盟国によって制裁パッケージが採択される度に、勇気づけられていると感じる、あるいは、非常に楽観的な気分を覚えています。
個々の加盟国との議論は、結果に達することは現実的だということを示しています。そして、私は、ウクライナ人に対して、彼らが自らの仕事をとても上手に実行していること、私たちがあなた方のパートナーであるということにつき、非常に感謝しています。私たちがあなた方を見捨てることは決してありません。
欧州議会はウクライナがEU加盟に近付くための支援を続けていく
欧州議会選挙は、将来のEU全体にとっての礎となります。あなたは、多くの加盟国を回っていますが、欧州の人々がこの瞬間が歴史的にどれほど重要か認識していると感じていますか?
私が訪れた国の中で、私に対してウクライナのことに言及しなかった国は1つもありませんでした。あなた方の隣国でも、より遠くの国でもそうです。第一に、ウクライナ人はEUのどの町にもいます。あなた方は彼らの、言うなれば、素晴らしい代表性を誇ることができます。彼らは、あなた方の大義を伝え、EUがキーウや、ウクライナの他の町の出来事、破壊された町やインフラ施設への注目を失わないようにしています。
次のEUへの選挙は、決定的なものとなります。選挙は、ちょうど1か月後の6月6日から9日にかけて実施されますが、私は、リーダーたちが訴えているウクライナへの支持が投票用紙に反映されることを疑っていません。私は、選挙結果を推測こそしませんが、欧州議会の次の構成でも、建設的で親欧州的な多数派が、ウクライナ支援継続のために引き続き一緒に頑張っていくと確信しています。
欧州選挙のプロセスは、欧州拡大プロセスにどのように反映されますか? とりわけ、ウクライナのEU加盟協議への支持に関してお聞かせください。
拡大には、加盟を望む国が全ての基準を履行することが必要です。一方で、全ての(EU)加盟国は、その基準の履行の事実を認める必要もあります。それは、選出された代表である私が、正当に期待できることです。そして、欧州議会にて私たちは、27人の首脳の1人1人がその道を進み続けていくことを、正当に期待し続けていきます。
それは容易でしょうか? いいえ。何らかの問題が生じるでしょうか? 当然ながら、各国が独自の手法を有しています。しかし、「私たちはあなた方の道を一緒に一歩ずつ歩んでいく」と言ったのに、もしあなた方が次の一歩を踏み出して、私たちが次の一歩を踏み出さなかったら、どうやってウクライナの人たちの目を見ることができるでしょうか? 私には、それは受け入れられません。
つまりは、「一歩ずつ」です。私は、慎重ながらも楽観的です。あなた方は、これまでに、他のどの国よりも真剣な結果を達成した。そして、私は欧州議会議長として、私たちが、あなた方の法律を私たちの法体系とシンクロさせていく分野において、(ウクライナ)最高会議と一緒に、支援を続けていく、つまり、EUに加盟する国から期待されることへと近付ける支援を行う、というコミットメントを認めることのみできます。
しかし、いずれの歩みも実施されねばなりませんし、それは実施されていくでしょう。
一時的被占領下ウクライナにおいて組織された違法選挙プロセスを考慮した上で、ロシア大統領に「再選」されたウラジーミル・プーチンの正当性について、あなたの立場はどのようなものですか?
私は、そこに正当性を見ていません。