第1回「平和サミット」、成果文書として「平和の基本に関する共同コミュニケ」を採択

15、16日にスイスで開催された第1回「平和サミット」において、成果文書となる「平和の基本に関する共同コミュニケ」が採択された。

ウクライナ大統領府広報室が共同コミュニケ全文を公開した。ウクルインフォルムによる全文の日本語訳は以下のとおり。


ウクライナのための平和に関するハイレベルサミット

平和の基本に関する共同コミュニケ

スイス、2024年6月15、16日

継続するロシア連邦の対ウクライナ戦争は、人々への大規模な苦しみと破壊を引き起こし続け、世界にとってのグローバルな悪影響を伴うリスクと危機を生み出し続けている。私たちは、2024年6月15、16日、ウクライナのための包括的で公正で永続する平和への道のりに関してハイレベルでの対話を強化すべく、スイスに集まった。私たちは、国連総会の2022年3月2日付決議A/RES/ES-11/1と2023年2月23日付決議A/RES/ES-11/6を改めて強調し、私たちの国連憲章を含む国際法の遵守へのコミットメントを強調する。

このサミットは、ウクライナの「平和の公式」やその他の国連憲章を含む国際法に合致する和平提案に基づいて行われたこれまでの議論に基づいて築かれたものであった。

私たちは、スイスのホスピタリティと、国際平和と安全保障の促進への力強いコミットメントの表れとしての同国のハイレベル・サミットの主催というイニシアティブに深く感謝している。

私たちは、国連憲章を含む国際法に基づく包括的で公正で永続する平和のための基盤を達成する道筋に関し、多様な意見の生産的で多面的で建設的な交換を行った。とりわけ、私たちは、どのような国の領土一体性や政治的独立に対しても力による威嚇や行使を行わないこと、ウクライナを含む全ての領海を含む国際的に認められた国境内における国家の主権、独立、領土一体性の原則、国際法の原則としての平和的手段での紛争解決への私たちのコミットメントを確認する。

さらに、私たちは、以下の重要な側面について共通の見方を有している。

(1)第一に、原子力エネルギー、原子力施設のどのような使用も、安全で、保護され、理想的に防護され、環境に害を及ぼさないものでなければならない。ザポリッジャ原子力発電所をはじめとするウクライナの原子力発電所と施設は、ウクライナの主権的管理の下、IAEA原則に従い、IAEAの監督の下で、安全かつ保護されて運用されねばならない。

ウクライナでの戦争の文脈におけるどのような脅威あるいは核兵器の使用は容認できない。

(2)第二に、グローバルな食料安全保障は、食料品の不断の生産と供給に依存している。これに関連して、自由で、完全で、安全な商業航行、並びに黒海・アゾフ海の海洋港へのアクセスは極めて重要である。港や航路上の商業船や、民間港や民間港湾インフラへの攻撃は容認できない。

食料安全保障は、決して武器として使われてはならない。ウクライナの農産物は、関心のある第三国に安全かつ自由に供給されねばならない。

(3)第三に、あらゆる捕虜は完全な交換を通じて解放されねばならない。追放され、違法に移動させられたウクライナの児童全員やその他の全てのウクライナの違法に拘束されている民間人は、ウクライナに返されねばならない。

私たちは、平和の達成は全ての当事者の間の関与と対話が必要だと考えている。よって、私たちは、将来、全ての当事者の代表者の更なる関与を得た上での上述の分野における具体的な方策をとることを決めた。

全ての国家の領土一体性と主権への尊重の原則を含む国連憲章は、ウクライナにおける包括的で公正で永続する平和を達成するための基本となり得るものであり、その役割を果たすであろう。


なお、ゼレンシキー宇大統領は、コミュニケに参加した国のリストをテレグラム・チャンネルで公開した