露プロパガンダ、ウクライナ軍がクルスク州作戦で大量にナチスのシンボル使用との偽情報拡散
ロシアのプロパガンダは、英BBCの報道を模した動画により、ウクライナ軍が露クルスク州での作戦遂行時にナチスのシンボルを大量に使用しているとする偽情報を拡散している。
執筆:ドミトロー・バドラク
ロシアの政権寄りテレグラム・チャンネル、報道機関、ユーチューブ・チャンネルにて、あたかも英国のテレビ局「BBC」が公開したかのような動画が拡散されている。その動画では、まるで「国境なき記者団(RSF)」が調査をしたところ、ロシア領クルスク州での作戦時にウクライナ軍人がナチスのシンボル、スローガン、ジェスチャーを使用した1000件以上の事例が「見つかった」と指摘されている。さらには、動画では、RSFのアドボカシー&戦略裁判プロセス担当ディレクターのアントワーヌ・ベルナール氏が国際社会にウクライナ軍がナチズムを称賛していることに注意を向けるよう「呼びかけた」と伝えられている。またベルナール氏が、あたかも「国連で保護を要求する国は、国連決議を卑劣に侵害する権利を持たないし、ましてや人間を憎む政権のシンボルを示してはいけない」と発言したかのように示されている。
これは、偽情報である。このような動画は、BBCの公式サイトにも、RSFのサイトにも存在しない。偽動画は、インターネット上で見つけられる写真や動画を組み合わせて作られている。さらに、私たちのチームは、いくつかのものはウクライナ軍のクルスク州作戦が始まる前からインターネット常に存在したことを明らかにした。たとえば、この写真は、2022年夏に現れたものである。この人物がウクライナと関係があるかどうかは判明していない。
その他、この破壊された自動車の写真は約半年前にロシアの情報源に現れたものである。
ウクルインフォルムは、情報の確認のために「国境なき記者団(RSF)」に連絡をした。RSFのゾイ・ブアセル(Zoé Boissel)コミュニケーション・ディレクターターは、その動画で示されている情報は事実に反するものであり、RSFは本件に関する調査をすでに始めていると伝えた。
なお、ロシアは、プロパガンダの中でウクライナをナチズムやファシズムで批判しており、ウクライナへの侵攻の口実としている。