ゼレンシキー宇大統領、中国・ブラジルの「和平計画」を「破壊的」だと批判

ウクライナのゼレンシキー大統領は、ブラジルの人々はウクライナを支持しているが、しかし中国とブラジルの戦争終結に関する提案は「破壊的」だと指摘した。

ゼレンシキー大統領がブラジルメディア「Metropoles」へのインタビュー時に発言した

ゼレンシキー氏は、「ブラジルはウクライナと全くもって普通の関係にある。私は、ブラジルの人々はウクライナの人々を支持していると確信している。ただし、ルーラ氏(編集注:ブラジル大統領)が私たちを支持していたら、彼は戦争停止に役立てていたであろう」と発言した。

また同氏は、「和解」のためにプーチン氏と一緒に交渉のテーブルにつけとの呼びかけは受け入れられないと強調した。

その際同氏は、「私はルーラ大統領と良い対話を行ってきたし、私は、彼は私を理解したと思っていた。私は、会談につき彼に感謝していたし、完全にオープンだった。私は、彼の経験において、起きていることについての理解を見たいと思っていた。単なる政治的和解ではなくだ。何の和解だというのだ? 単に座って話す、というのはどういう意味なのだ? 彼(プーチン)は殺人者だ。そして、私は、座って、何かについて話すためには、強くならねばならない。彼(プーチン)は、措置をとり、戦争を終わらせたいということを示さねばならない。単に「お互いに歩み寄るべきだ」などとは言ってはならないのだ。彼が入ってきて、人々を殺し、領土を奪ったところで、今、ルーラ氏は『彼らを話合わせよう』と言っているのだ」と発言した。

そしてゼレンシキー氏は、敵との妥協の呼びかけは受け入れられないとし、中国とブラジルの提案は破壊的だと強調した。

同氏は、「どんな譲歩だというのだ? 自分たちの領土を開け渡して、彼らが私たちの人々を殺していることを忘れろというのか? その譲歩は、受け入れらないものだ。殺人を忘れ、全てを忘れろと? そのため、私は、それは破壊的だと思っている」と発言した。

これに先立ち、5月23日、中国とブラジルは、ロシア・ウクライナ戦争の政治的解決に関して、平和会議の実施は、ウクライナとロシアの双方が認めたもので、全ての当事者が平等に参加し、全ての和平計画が議論されるものを支持するという共通の立場を表明していた。中国とブラジルの意見には、「ウクライナ危機」(編集注:中国とブラジルはロシアの対ウクライナ侵略戦争をこのように名付けている)の解決を可能とする6つの項目の履行が並べられている。

なお、同文書には、ロシアの名前は一度もあげられておらず、この呼びかけが、そもそもすでに2年以上にわたり隣国に対して残酷な侵攻を続けている侵略国であるロシアに関係するものなのかどうかが判然としない内容となっていた。