ヴァグネル反乱時、一部ロシア軍人は命令を履行しなかった=ロイター

ロイター通信は、ロシアの傭兵集団「ヴァグネル」が同国で反乱を起こした際、一部のロシア軍人はヴァグネルの進軍を止めるよう命令を受けていながら、実行に移していなかったと報じた。

10日、ロイター通信が調査報道記事を公開した

ロイターは、5つの情報源をもとにこの結論を出している。情報は、ロシアの治安機関内、クレムリンに近い人物3名、ウクライナ東部の占領政権代表者1名から得たという。治安機関関係者は、少なくともロシア南西部の2つのロシア軍部隊がヴァグネル部隊に対して抵抗を行うよう命令を受けたけれど、これら部隊が命令を遂行しなかったと伝えた。

ロシアの部隊の中には、奇襲により劣勢に立たされたことから何も行動しなかった部隊もあれば、当初ヴァグネルがクレムリンの命令で行動していると考えていた部隊もあるという。また将校の中には、ヴァグネルに対して連帯意識を感じており、またロシア国防省の戦争遂行の仕方に対するプリゴジン氏の失望を共有していたために、ヴァグネルとの対立を望まなかった者もいるという。

また、ウクライナのダニーロウ国家安全保障国防会議(NSDC)書記は、ロイターに対して、ロシア軍人の中にはプリゴジン氏を支持していた者が多くいたと発言した。

ダニーロウ氏は、「ヴァグネルに親近感を覚え、プーチンの後を進みたがらなかった指揮官は非常に多い」と述べ、また同氏はプリゴジン氏を支持していた14名のロシアの将軍を把握していると補足した。

これに先立ち、6月23日、傭兵集団「ヴァグネル」のトップ、プリゴジン氏が反乱の開始を宣言し、一時モスクワに向けて進軍を行い始めていた。プリゴジン氏はその後、ルカシェンコ自称ベラルーシ大統領の仲介を受け、進軍を止めた。

米国国務省のミラー報道官は6月26日、傭兵集団「ヴァグネル」のトップ、プリゴジン氏が主導した反乱を巡る情勢につき、プーチン露大統領が初めて深刻に向き合うことになった大規模な挑戦だったとの見方を示していた。