マリウポリ防衛の264名のウクライナ軍人、露占領下自治体へ避難=宇参謀本部公表
参謀本部がフェイスブック・アカウントなどにて発表した。
参謀本部は、「マリウポリ駐屯地は、課されていた軍事課題を完遂した」と強調した上で、最高軍司令部がアゾフスタリに駐留する部隊の指揮官に対して、人員の命を守るよう命令を出したと伝えた。
発表には、「封鎖された工場敷地からのウクライナ防衛者の救出作戦が継続している」とある。
具体的には、53名の重傷の軍人の避難が始まり、彼らはノヴォアゾウシク(編集注:マリウポリから東へ約30キロ。ロシアにより2014年から占領されている)の医療施設へと運ばれたという。さらに211名の軍人が人道回廊を通じてオレニウカ(編集注:マリウポリから北へ約90キロ)へと避難されたとあり、彼らの今後のウクライナ政府管理地域への帰還は、(被拘束者)交換手続きを通じて行われると説明されている。
また、それ以外の引き続きアゾフスタリに残っている防衛者の救出方策は「継続している」とのこと。
参謀本部はさらに、「マリウポリ防衛者は、現代の英雄だ。彼らは永遠に歴史に残る。国家警護隊の特命分遣隊『アゾフ』と第12旅団、第36独立海兵旅団、国境警備隊、警察官、志願兵、マリウポリ領土防衛部隊のことだ」と強調している。
また、「彼らは、アゾフスタリの陣地を維持することで、敵に最大17の大隊戦術群(約2万の兵力)の部隊の別の戦線への投入を許さなかった。それによって彼らは、迅速なザポリッジャの制圧、ドネツィク州とザポリッジャ州の行政境界線への到達、統一部隊の部隊を包囲するための条件創出という(編集注:ロシア軍の)計画の実現を妨害したのだ」と説明されている。
加えて参謀本部は、彼らが敵をマリウポリ周辺に引きつけることにより、ウクライナ側が準備をし、防衛線を作り、そこでウクライナ軍が現在も敵の撃退をすることができているのだと指摘した。また、「私たちは、予備戦力形成、戦力再編、パートナーからの支援受け取りのために決定的に必要な時間を獲得したのである」と強調した。
その上で参謀本部は、現在のウクライナと世界の最も重要な課題はマリウポリの防衛者たちの命を守ることだと伝えた。
同日、マリャール国防次官もウクライナのテレビ番組にて、同様の説明を行った。
また、16日夜、ロイター通信は、アゾフスタリから5台のバスがノヴォアゾウシクに到着したと報じた。避難してきた軍人の一部は負傷しており、バスから担架で運び出されたという。
さらに、ゼレンシキー大統領は、17日未明の動画メッセージにて、同作戦につきコメントした。
ゼレンシキー氏は、「マリウポリ防衛者救出作戦が、私たちの軍人と情報機関職員によって始められた。若者たちを家に戻すために、作業が継続しており、その作業は繊細さを必要とするものである。そして時間もかかる。その他の方面でもウクライナの国益のために最大限の外交的な活発さを維持しよう」と発言した。
さらに同氏は、ウクライナ軍、情報機関、協議グループ、国際赤十字委員会(ICRC)、国連の行動のおかげで、マリウポリ防衛者の命を救う希望が生まれたのだとし、彼らの中には重傷者もおり、彼らには支援が与えられていると発言した。
同氏は、ウクライナにとって、ウクライナの英雄たちは生きていなければならないと強調し、「それが私たちの原則だ」と強調した。
これに先立ち、16日、ウクライナの国家警護隊特命分遣隊アゾフ連隊は、マリウポリ防衛者たちが、82日間にわたり優勢な敵を自らに引きつけるという命令を完遂したとしつつ、同時に、命を守るために、マリウポリ駐屯地は全員で、最高軍幹部が確定した決定を遂行しており、ウクライナの人々のサポートを期待していると発表していた。
写真:オレスト