「戦争を終わらせるというのは、あなた方の国の侵略を終わらせることだ」=ゼレンシキー宇大統領、露国民に呼びかけ
ゼレンシキー大統領が同日夜の動画メッセージの際にロシア語で発言した。
ゼレンシキー氏は、ロシア国民に対して、ロシア首脳陣のせいで10万人以上のロシア兵が死亡したのであり、彼らは間違いなく平和を求めていないと発言した。
また同氏は、「11月15日、ウクライナの『平和の公式』が発表された。その項目の1つは、ロシア占領軍の私たちの国の領土からの撤退を定めている。それは、戦闘と人的損耗と戦争そのものの、保証された理想的な終了手段である。その日の朝の時点での死亡したロシア兵の数は8万2000人だった。12月12日、ロシアは、クリスマスに占領軍を撤退させるという『平和の公式』の履行開始の提案を受け取っていた。その日の時点で、死亡したロシア兵の数は9万5000人となっていた」と説明した。
そして同氏は、いずれの提案もロシアの首脳陣は多分聞き入れなかったのだろうと指摘した。
加えて、同氏は、今日の時点で、今次戦争のロシア兵の死者数は約11万人に達していると指摘し、「私たちの国に対してテロを続け、あなた方の人々を死へと送り込んでいる人々は、私たちのロシア侵略の停止の提案を拒否し続けているのであり、間違いなく人命を大切にしておらず、さらには平和も望んではいない」と発言した。
同氏はまた、「クリスマス停戦」なるものにつき、それは新たな損耗をもたらすだけだと強調した。
同氏は、「現在、彼らは、私たちの青年たちのドンバスにおける進軍を少しでも止めて、私たちの陣地の近くまで装備、弾薬、動員兵を近付けることを目的に、クリスマスを隠れ蓑として利用したがっている。それがもたらすものは何か? さらなる損耗数の増加のみである。世界中の誰もが、クレムリンが、新たな戦力で戦争を継続するために休戦を用いることを知っている。しかし、戦争をより早く終わらせるために必要なことは、全く別のことなのだ。必要なのは、ロシア国民が、クリスマスの間の36時間だけでも良いから、クレムリンにいる1人の人物に対する恥ずべき恐怖から自らを解放する勇気を、自らの中に見つけることなのだ」と述べ、ロシア国民の「彼」に対する恐怖はロシア自体を破壊していると補足した。
同氏は、「戦争を終わらせるということは、あなた方の国の侵略を終わらせるということである」と強調し、さらに「あなた方のミサイルや無人機が私たちの町を攻撃しなくても、被占領地ではテロが続いているのだ。あなた方は、ウクライナ人に対して、いかなる休止も与えていない。人々は拷問され、電気ショックを加えられ、強姦されている。それは、あなた方の兵士が私たちの大地にいる間、毎日続いている。そして、戦争は、あなた方の兵士が、去るか、あるいは、私たちは彼らを追い出すかした時に、終わるのだ」と説明した。
最後に同氏は、「便器は持って行かせれば良い。それは道すがら必要だろう。そして、彼らは自分のところへ戻るのだ。私たちの1991年の国境の向こうへだ」と発言した。
これに先立ち、同日、ロシアのプロパガンダメディアは、テロ国家ロシアのプーチン大統領が、1月6日12時から1月7日24時までの36時間、ウクライナ領の衝突ライン前線にて「停戦」を行うように指示を出したと伝えていた。
これにつき、バイデン米大統領は、「プーチン大統領は、少し酸素を見つけようとしているのだと思う」とコメントしていた。ドイツのベーアボック外相は、「もしプーチンが平和を欲していたなら、彼らは兵を家に戻らせていたはずであり、戦争は終わっていたはずなのだ」とし、その「停戦」と称するものはロシアの占領下、日々の恐怖の中を暮らす人々には自由も安全ももたらさないと強調した。
ウクライナのクレーバ外相は、ゼレンシキー宇大統領が10項目からなる「平和の公式」を提案したが、「ロシアはそれを無視し続け、クリスマスイブにヘルソンを砲撃し、新年に大規模ミサイル・無人機攻撃を行ったのだ」と喚起し、ロシアの現在の「一方的停戦」は深刻に受け止められないし、受け止めるべきではない、と指摘していた。
写真:大統領府