ウクライナ陸軍司令官、夏季のロシア軍の攻勢を排除せず
パウリューク陸軍司令官がテレビ番組「統一ニュース」出演時に、記者からの夏季のロシア軍の攻勢可能性に関する質問に答える形で発言した。
パウリューク氏は、「ロシアの計画は完全には判明していない。私たちにわかっているのは、彼らのところにあるもの、彼らが作っているもののデータだけだ。彼らは、10万人以上の部隊を作っている。必ずしも攻勢(部隊)となるわけではない。もしかしたら、それによって戦闘能力を失っている部隊を補充するのかもしれない。しかし、夏のはじめに彼らがいずれかの方面の1つにてそのような攻勢作戦遂行のための一定の戦力を有す蓋然性はある。それは、今のところ、そのような攻勢があるという、最大限厳しい予想である。私たちは、彼らが形成しているリソースがそれまでに全て戦いに投入されるよう、敵に現在のような最大限の損耗を出させるためにあらゆることを行う。しかし、私たちは、状況のあらゆる展開に備えている」と説明した。
また同氏は、残念ながら、ウクライナは現在航空優勢を有していないとし、そのため敵はウクライナ側陣地に対して強力な空爆を行うことができていると指摘した。
さらに同氏は、「残念ながら、私たちには現在航空優勢がない。私たちがそれを得たら、私たちはロシアの航空機が境界線近くに飛んできて、私たちの施設に攻撃することができなくなるように、あらゆることを行うだろう。私たちはそれに向けて活動しており、私たちのパートナーもそのために活動している」と発言した。
その他同氏は、欧州のパートナーは、ウクライナがこの戦争に負けた場合の悪影響をよく理解していると発言した。
その際同氏は、「もし私たちが(編集注:ロシア軍を)ウクライナで食い止めることができなければ、次の国はもうNATO加盟国となるだろう」と強調した上で、西側諸国の軍幹部は自国の政治首脳陣にそのことを証明するために、あらゆることを行っていると補足した。
そして同氏は、「軍人は理解しているのだ。ウクライナが耐えて、戦っている内は、彼らは安心して存在することができ、暮らすことができ、発展することができるということを。もし、ウクライナが耐えきれなくなれば、彼らの落ち着いた生活は終わる。その時は、彼らが戦わざるを得なくなり、彼らはそれを非常によく理解している」と発言した。
なお、ゼレンシキー大統領は、シルシキー前陸軍司令官の軍総司令官への任命に伴い、今年2月11日にパウリューク氏を陸軍司令官に任命していた。パウリューク氏は、それまで国防第一次官を務めていた人物。