民間人殺害ロシア兵に対する最初の判決、5月23日の見込み
20日、ウクルインフォルムの記者が伝えた。
20日、弁護士は、裁判所に対して、被告への情状酌量を要求した。弁護士は、「シシマリン氏は、起訴されることになった今回の罪を犯すつもりはなかった。彼は単に命を守るつもりだっただけである。なぜなら、ウクライナ軍からだけでなく、自らの直接の上司からからも脅威を感じていたのだから。(中略)シシマリン氏が武器を手にしてウクライナに対して軍事侵略を継続する願望を示さなかったこと、自発的に投降したこと、その後一切の妨害をしなかったことは情状酌量に値する。(中略)私は、ヴァジム・シシマリン氏は、裁判所で聞かれるその犯罪実行への罪はないと考えている」と発言した。
同時に起訴した検察官は、シシマリン氏は、自らの行っていることをよく認識していたと強調し、「彼はそれを回避することができただろうか? そう、回避できた! 3、4発撃つのではなく、機関銃を動かして1発だけ撃つことはできただろうか? できた! しかし、彼は意図的にウクライナ国民を殺害したのである」と強調した。
検察官は、被告の刑法上の罪を認め、終身刑を求刑した。
シシマリン氏は、最終答弁にて、自らの行為に後悔していると述べ、自らの犯した殺人に不安を覚えていると発言した。
なお、19日の公判では、殺害された男性の配偶者の女性が出廷していた。女性は、殺された男性は、家から出た時、武器を持っておらず、民間人としての装いだったと伝えた。
女性もまた、被告に対する適切な刑は終身刑だとの見方を示しつつ、「しかし彼が、私たちのマリウポリの防衛者たちなどと交換されるなら、私は反対しない。私は賛成する」と発言した。
さらに女性は、ロシア軍が彼女の住む村に入ってきたのは2月25日だったと伝えた。
シシマリン被告は19日、スーミ州のその村に入った時の状況を説明。被告は、2月28日にロシアの軍用機材の車列とともに村に入ったと伝えた。その際、部隊の大尉が一般車両フォルクスワーゲン・パサートを目にして、その車を調査しろと述べたのだという。
フォルクスワーゲンには誰も乗っておらず、兵たちはその車に乗り、被告は運転席に座り、運転を開始。道で、携帯電話で話をしている男性を見かけると、曹長がその男性はロシア側の情報をウクライナ軍に電話しているようだとし、シシマリン被告に対して銃殺せよと言ったが、被告は最初は実行しなかったという。
シシマリン被告は、「その後、知らない軍人が右側に座り、見回し、脅しながら、私に対して、銃殺を命じた。その際、私たちは自分たちの部隊のところまでいけなくなる、支援を呼びえなくなると理由を話した。私は、被害者をそれまで見ていなかったが、向き合った時彼を見た。そして私が銃撃した。そうして私は彼を殺した。私たちは先に進んだ」と発言した。
さらに被告は、どのような軍人も、明らかに犯罪となる命令は遂行することは義務ではないとし、武器を持たない、無防備の高齢の民間人を銃撃するという自身への命令は合法ではないと認めた。
シシマリン被告は、18日に続き、その際も、自らの罪を認めると述べ、被害者の配偶者女性に謝罪した。
19日の公判の様子はオンラインで公開されていた。
ロシア軍人のヴァジム・シシマリン被告は、2月28日にスーミ州在住の一般市民オレクサンドル。シェリポウ氏を殺害。同裁判は、ロシア軍人による民間人殺害に関する最初のものとなる。