欧州人権裁判所、クリミアでのロシアによる多数の人権侵害の存在を認める
ウクルインフォルムの特派員が伝えた。
裁判所は、具体的に欧州人権条約の第2条(生命権)、第3条(非人道的あるいは品位を傷つける扱いの禁止)、第5条(自由および個人の不可侵の権利)、第6条(公正な裁判を受ける権利)、第7条(法律のない処罰の不在)、第8条(私生活および家庭生活の損傷についての権利)、第9条(宗教の自由)、第10条(表現の自由)、第11条(集会の自由)、第14条(差別の禁止)、第18条(権利制約の制限)の侵害につき伝えた。
裁判所はまた、全会一致で、ロシアが条約第38条(事件の審理のための必要な条件を提供する義務)に従った自らの義務を履行していないとの判断も下した。
さらに裁判所は、クリミアからロシア国内の刑務施設に移送された囚人を安全に帰還させるための措置を速やかに講じる義務を果たしていないと判断した。
裁判所はまた、特に、証人やその他の資料により裏付けされた政府間組織や非政府団体の報告書をはじめとする証拠があるとし、それは事件は体系を公正するほどに十分多くあり、相互に結びついていたとする結論のために十分あると指摘した。
ウクライナのマリューシカ司法相は、ウクルインフォルムの特派員に対して、今回の判決は歴史的なものだとコメントした。
マリューシカ氏は、「確かに歴史的な日であり、『ウクライナ対ロシア』の国家間裁判における初めての本案判決であり、今回はクリミアに関係するものだ。裁判官は、2014年2月から2022年9月までの情勢を分析した。つまり、ロシアが欧州(人権)条約の加盟を停止するまでの期間だ」と発言した。
同氏はまた、ウクライナ側の法律専門家たちは、判決言い渡しが30分もかかるとは予想していなかったとし、裁判長はロシアが違反した欧州条約の条文の長いリストを引用するのにより長い時間を要したと指摘した。その際同氏は、「莫大な数の違反が認められたことから、発表が予想より長くなったのだ。その量は膨大であり、よってこれは、間違いなく成功だ」と強調した。
さらに同氏は、これらの違反行為の中には、失踪、クリミア・タタール人に対する犯罪、投獄、個人宅への襲撃や家宅捜索、宗教指導者への脅迫が含まれると述べ、その他記者に対する犯罪も含まれると伝えた。
加えて同氏は、「非ロシアメディア、何より、ウクライナやクリミア・タタール・メディアへの圧力や嫌がらせもだ。記者への脅迫や圧力と同等の行為である。また、市民集会の禁止や、そのような公開行事の運営者の拘束もだ」と指摘した。
その他には、学校でのウクライナ語禁止、クリミアとウクライナの間に違法に境界線を設置したことによる移動の自由の権利も関係するという。
マリューシカ氏は、「このように、ロシアはロシア国内法で反対のことを主張したにもかかわらず、裁判所は、クリミア領内でロシアの法律は適用されないことを認めたのだ」と説明した。