タラン・ウクライナ国防相、オースティン米国防長官と会談
両者は、会談後共同記者会見を行った。ウクルインフォルムの記者が伝えた。
オースティン米国防長官は、「まずはっきりさせよう。ロシアがその戦争(編集注:ロシア・ウクライナ戦争)を始めたのであり、ロシアが平和的情勢解決を妨害している石なのだ。彼らがウクライナの主権と領土一体性を侵害したのである。私たちは、ウクライナを支え、ウクライナが領土一体性を守るための能力を強化していく」と発言した。
オースティン氏はまた、米国は、黒海地域の安全保障強化のサポートを続けていくと述べ、「この地域は私たちにとって非常に重要であり、私たちは、この地域の安全保障において私たちのパートナー国のサポートを続けていく」と発言した。同氏は、ロシア連邦の黒海地域の不安定行為を抑制するために、米国はウクライナ、ジョージア、ルーマニア、ブルガリアをサポートする準備があると発言した。
ウクライナの北大西洋条約機構(NATO)加盟問題については、同氏は、「いかなる第3国もNATO加盟に拒否権は持たない。以前述べたように、ウクライナは、自らの外政の未来について外的干渉を受けることなく決める権利を持っている」と明言した。
加えて同氏は、米国はウクライナのNATO完全加盟の基準を達成することを促すウクライナの防衛改革を一貫して支持していると指摘し、それはまたウクライナの防衛能力を高め、軍に対する民主的文民コントロールを強化し、人的コントロールを改善するものだと発言した。
オースティン氏はまた、米国はウクライナとの戦略的防衛パートナーシップを強化する意向があるとし、「私たちは、(編集注:タラン外相と)米国防省で数週間前にも会っており、今日は私たちは、8月にワシントンで署名した枠組協定に関する生産的な協議を行った。その協定は、私たちに防衛パートナーシップの戦略的基本を与えるものだ。私たちは、戦略的パートナーシップを強化する意向がある」と伝えた。
また、同氏は、バイデン米大統領がゼレンシキー大統領の訪米時に、米国のウクライナの主権に対する支持は揺らがないと発言したことを喚起した。
同氏は、「私たちは、クリミアの占領を非難しており、ロシアに対して、ウクライナ東部の戦争を止め、黒海とウクライナ国境沿いの不安定行為を止め、米国や同盟国、パートナー国に対するサイバー攻撃を止めるよう要請している」と発言した。
さらに同氏は、米国は2014年以降、ウクライナ軍の強化と領土一体性・主権保護保障のために25億ドル以上拠出してきたと述べた。
同氏は、「私は、ウクライナとウクライナの人々のことが好きであり、私たちは、彼らを支援する義務がある。バイデン大統領は、ウクライナの領土一体性と不可侵性を支持する私たちの義務を繰り返し強調しており、私たちはそれに対して真剣に向き合っている。私は、私たちの意向の真剣度を今一度はっきりさせるためにここにいるのだ」と強調した。
タラン・ウクライナ国防相は、オースティン氏との協議につき、「私たちは、黒海地域の安全を高めることについて、両国の連携組織に関して協議した。とりわけ、航行、経済活動に対する危険を生み出し、新たな紛争を引き起こしているロシア連邦の攻撃的政策に対する対抗方策についてだ。私たちは、共通の利益を抱えており、本件について目的別協議を続ける用意があり、また黒海地域やNATOのパートナー国と安定と安全の維持のために努力を集結させる用意がある」と発言した。
タラン氏はまた、「今日の協議では、私たちは、達成済み合意の実質的実現の順序や、私たちの協力の展望について協議した。とりわけ、私たちは、ワシントンで署名された防衛パートナーシップの戦略的基本に関する枠組協定の項目実現のロードマップを作成することで合意した。私たちは、ウクライナ軍の基本的能力発展に関する具体的で最も決定的なプロジェクトを審議した。それは、陸海空サイバー空間において、私たちの国を防衛する上で重要なものだ。これらプロジェクトの実質的な実現によりウクライナ軍は防衛分野の現存の脅威、潜在的脅威に効果的に対抗できるようになり、米国との間で戦略的パートナーシップを軸とした特に地域の安定と平和維持の点での緊密な連携を構築できるようになる。また、それはNATO完全加盟の基準達成も促進するものだ」と発言した。
加えてタラン氏は、オースティン米国防長官のウクライナ訪問は、ウクライナ・米国間の戦略的防衛パートナーシップの新しい段階の始まりとなったゼレンシキー大統領の8月の訪米によって始まった対話の延長であり、非常に大きなイベントであると指摘した。
タラン氏は、米国に対して、ロシア連邦のハイブリッド侵略に対するウクライナの対抗への包括的サポート、防衛改革実現支援、NATO加盟促進につき謝意を伝えた。
なお、米国防省の公式発表によれば、オースティン米国防長官は、ウクライナ訪問時に、ウクライナ側とロシア連邦によるウクライナ東部と占領下クリミアでの破壊的行動の他、中国の地域における悪影響についても協議したとのこと。