ウクライナ最高会議、ベラルーシ情勢に関する声明を採択
声明決議案第3053a「ベラルーシ情勢」に最高会議議員228名が賛成票を投じた(過半数は226)。ウクルインフォルムの記者が伝えた。
ウクライナ最高会議は、声明にて、ベラルーシ大統領選挙は自由でも公正でもなく、「候補者間の競争も、報道の自由も、欧州安全保障協力機構(OSCE)や欧州評議会といった権威ある国際機関から監視員も全く欠如した中で行われた」と強調した。
最高会議は、ベラルーシ大統領選挙は、決定的な違反、登録者の大量拒否、不透明な開票をともなって行われたと指摘した。
その上で、声明には「私たちは、野党勢力への脅迫や拘禁、投票所における独立した国内監視員に対する妨害、有権者の自由な意思発露の権利の侵害、ベラルーシ中央選挙管理委員会に対する政権の完全なコントロールは看過し得ないと考えている」と書かれている。
最高会議はまた、これらは全て、ベラルーシ大統領選挙の公表された結果は、ベラルーシ国民の真の意思発露を反映するものではないと考える根拠を与えていると強調した。
そして、最高会議は、ベラルーシ治安機関側から抗議者への過度な力の行使を非難した。
声明には、「私たちは、欧州連合(EU)によるベラルーシ大統領選挙の非民主的性格に関する評価を共有しており、選挙結果捏造と抗議者に対する暴力行使に責任ある人物への制裁発動を支持している」と書かれている。
同時に最高会議は、非拘束者を例外なく全員解放することを要求し、更にベラルーシ政権がベラルーシ社会の更なる情勢激化と緊張を起こさず、対立者への政治的動機による迫害や、政権の行動に反対の意思を表明するために集会に参加する各地のベラルーシ国民への迫害をしないことへの期待が表明されている。
更に最高会議は、ウクライナ国民が違法に拘束されたことを非難し、受け入れられないと表明し、「私たちは、彼らの権利と利益をあらゆる合法的手段で保護していく」と伝えた。
同時に最高会議は、ウクライナはベラルーシの主権を尊重しており、独立を支持し、内政不干渉の原則を維持していると伝えた上で、ベラルーシ側が同国情勢の不安定化にウクライナが関与しているとする非難を強く否定した。
声明には、「ベラルーシは、私たちにとって常に兄弟国家であったし、これからもそうであり、私たちは歴史的、文化的、精神的に近い。私たちは、ベラルーシがこの困難な段階を主権を弱めることなく克服することを期待している」と書かれている。
更に最高会議は、ベラルーシ情勢の解決のためにロシア連邦や集団安全保障条約の兵力を引き込もうとする意図は看過できないとし、そのような行為は、欧州全体とウクライナの安全保障にとって直接的な脅威となるとの見方を示した。
その上で、ウクライナ最高会議は、ベラルーシ政権に対して、現在の危機からの平和的脱出の道を模索するためにベラルーシ社会との平等な対話を行うよう要請し、その一つの案となり得るのは、権威ある欧州機関からの独立した国際監視員を参加させた上での新しい自由で民主的な選挙の実施だと指摘した。
なお、ベラルーシでは、8月9日に大統領選挙が実施され、その後、中央選挙管理委員会が14日に、最終開票結果として、現役大統領のアレクサンドル・ルカシェンコ候補の得票80.1%であり、有力視されていたスヴェトラナ・チハノフスカヤ候補の得票は10.1%だったと発表した。
これに対して、ベラルーシ市民が全国にて、中央選管の発表に疑問を提示して抗議を続けている。抗議者たちは、選挙結果は捏造されており、実際にはチハノフスカヤ候補がルカシェンコ候補に大差で勝利したと考えている。この抗議運動により、抗議者と治安機関の間で衝突が起き、多くの拘束者や死傷者が出ている。
チハノフスカヤ氏は25日、欧州議会外務委員会臨時会合におけるスピーチの際に「ベラルーシ人の要求は、公正で自由な選挙」だと説明している。
写真:TUT.by