欧米、露国家院選挙のクリミアでの実施を批判

欧米、露国家院選挙のクリミアでの実施を批判

ウクルインフォルム
欧州連合(EU)や米英トルコなどは、ロシア連邦が同国下院選挙を被占領下ウクライナ領クリミアでも実施したことや、その他野党勢力への攻撃などを批判している。

EUは、欧州理事会ウェブサイト上に、加盟国を代表する形で、露国家院選挙実施に関する上級代表宣言を公開した。

同宣言には、「EUは、クリミアとセヴァストーポリ市の違法併合を認めていないし、今後も認めない。それゆえ、被占領下クリミア半島で実施されたいわゆる選挙も承認しない。ロシアによるウクライナ領ドネツィク・ルハンシク両州非ウクライナ政府コントロール地域の住民の国家院、地方選挙への関与は、ミンスク諸合意の精神と課題に反する。EUは、ウクライナの領土一体性と主権を揺らがず支持し続けている」と書かれている。

またEUは、ロシアが欧州安全保障協力機構・民主制度・人権事務所(OSCE/ODIHR)の選挙監視団を著しく制限したことにつき懸念を表明した他、深刻な選挙違反が報告されていること、野党政治家、市民団体、報道機関に対する弾圧が強められたことにも注意を向けている。

米国務省は、声明において、「私たちは、ウクライナの主権領土で行われたロシア国家院選挙の実施を認めないし、ウクライナの領土一体性と主権への揺らがぬ支持を確認する」と伝えている。

米国はその他、ロシア政権が「過激主義団体」「外国エージェント」「望ましくない団体」に関する法律で政治的多様性を制限したことを批判、独立活動家の排除やOSCE監視団の活動妨害により「透明性が著しく低下した」と指摘した。

英外務省は、声明にて、「私たちは、ウクライナの主権領土におけるその選挙の実施を非難し、2014年3月のロシア連邦によるクリミア併合は違法であったし、現在まで違法であり続けている」と伝えた。

英国はまた、ロシアの今回の選挙を「民主的自由にとっての深刻な後退」だと形容し、国際監視団の制限、市民団体や野党候補の排除により政治的多様性が弱体化され、国際的義務に反したと指摘した。

トルコ外務省は、声明にて、「トルコは、ウクライナの領土一体性を支持し続けており、クリミアの違法併合は認めていない。それゆえ、2021年9月17日から19日にかけてのクリミアでも実施された国家院選挙のクリミアに関する結果はトルコにとって法的効力を有さない」と伝えた。

ポーランド外務省は、声明にて、「外務省は、ロシア連邦が占領するクリミア半島でのロシアの『選挙』実施を違法とみなしている。外務省はまた、ウクライナ国民へのロシア・パスポートの大量配布とドンバス領での電子投票組織を非難している」と伝えた。

またポーランドは、OSCE監視員のアクセス制限、野党候補者の選挙参加拒否などを指摘した上で、「その状況は、新しい議員の合法性に疑念を及ぼしかねない」と指摘した。

なお、ロシアでは、9月17日から19日にかけて国家院選挙の投票が行われた。

ウクライナ外務省は、この国家院選挙が被占領下ウクライナ南部クリミアでも違法に組織されていること、またウクライナ東部ドネツィク・ルハンシク両州一部被占領地の住民が強制的に選挙に参加させられていることに対して、強い抗議の意を表明している。

ウクライナ最高会議(国会)は、ロシアが国家院選挙に向け、一時的被占領下ウクライナ領でも違法に選挙準備をしていること、またドネツィク・ルハンシク両州一部被占領地域のウクライナ国民も投票に参加できるようにしていることから、同選挙の合法性を認めないよう国際社会に呼びかける決議を採択している。

ウクライナの国家安全保障国防会議(NSDC)は、一時的被占領下ウクライナ領クリミア・ドンバスにおけるロシア連邦国家院選挙の組織・実施に関わった人物に対して制裁を発動する決定を採択している。


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