ゼレンシキー大統領、露傭兵拘束作戦失敗事件に関し「裏切り行為はない」
3日、大統領が西部トルスカヴェツィでの記者会見時に発言した。ウクルインフォルムの記者が伝えた。
大統領は、記者からの質問に答える形で、「裏切り行為は、それが存在しない場所で探すべきではない」と発言した。
同時に大統領は、2020年夏に露ワグナー傭兵がバスにてベラルーシに入国した際に、ルカシェンコ当時ベラルーシ大統領と電話会談を行ったことは認めた。「電話でのルカシェンコ氏とのワグナー傭兵に関する協議については、それを行ったのは事実だ。彼らがバスでベラルーシに入った時、(ルカシェンコ)大統領と話をした。私は彼に『あなた方のところに戦闘員がいる。私たちには情報がある』と伝えた。彼は、その問題を分析する、必ずあらゆる可能なことを行うと返答した。それで全部だ。その後は、もうおしまいだ(編集注:ベラルーシ当局はワグナー傭兵を拘束したが、ウクライナによる引き渡し要求には応えずに、ロシア側に傭兵を引き渡した)」と発言した。
本件は、昨年7月29日、ベラルーシ当局が、ミンスク近郊にてロシアの民間軍事会社「ワグナー」の傭兵を33名拘束した事件に関するもの。ウクライナ政権は、拘束された者のうち28名は過去にドンバス紛争に参加し、ウクライナ政権に対して戦っていた者だと指摘し、ベラルーシ側に対してウクライナへの引き渡しを要請したが、その後8月14日、ベラルーシは、これら拘束されたワグナー傭兵の内32名をロシア連邦に返還。ゼレンシキー大統領は、ベラルーシの決定を批判している。
本件に関し、昨年8月18日、ウクライナの記者のユーリー・ブトゥソウ氏が、ウクライナ治安機関内関係者発言だとして、ベラルーシで同国当局による露民間軍事会社「ワグナー」の傭兵の拘束はウクライナの特殊機関の特殊作戦がウクライナ大統領府からの情報流出により失敗したものだと発言。さらに、ポロシェンコ政権時の幹部であるオレクサンドル・トゥルチノウ元国家安全保障国防会議(NSDC)書記とユーリー・ルツェンコ元検事総長は、ベラルーシでの露民間軍事会社「ワグナー」傭兵拘束は、ウクライナの特殊機関の作戦が失敗したことによるものだとして、最高会議(国会)に捜査委員会を設置して捜査するよう主張していた。
一方、アンドリー・イェルマーク大統領府長官は、ウクライナ特殊機関がワグナー傭兵拘束の作戦を準備していたが、大統領府の会議の後の情報流出で失敗したかのような情報は、あらかじめ用意されていた偽情報キャンペーンだと発言した。
2021年9月、「ベリングキャット」のフリスト・グロゼフ(Christo Grozev)調査員は、ロシアの露民間軍事会社「ワグナー(ヴァグネル)」の傭兵を拘束するウクライナの作戦の失敗に関する調査のテキストは、もうすぐ公開されると発言していた。