バイデンはプーチンに二つの道を示した=ポーランド専門家
ポーランド国際問題研究所(PISM)のロシア専門家であるレグツカ氏がウクルインフォルムの特派員にコメントした。
レグツカ氏は、「バイデンがプーチンに、情勢展開の二つの道を示したことが明らかに見て取れる。1つは、制裁展望、NATO東方への新たな部隊配置、及びウクライナへの追加武器供与を伴う軍事的展開。もう一つは、外交的展開だ。私は、今回の会談後、私たちは外交的展開の方を目にしていくことになる思っている」と発言した。同時に同氏は、そのことによってロシアによるウクライナ侵攻のリスクが排除されるわけではないとも補足した。
同氏はまた、プーチン露大統領は軍事メカニズムを利用することでバイデン米大統領を会談に駆り出すことができたため、結果に一定程度満足している可能性があると述べた。また同氏の考えでは、現在のロシアの目的は、欧米諸国を欧州の新しい安全保障機構構築の協議に向かわせることだという。
同氏は、「現在、戦争の脅威が、米国やその他のフランス、ドイツ、イタリア、英国といった欧州諸国を参加させた協議実施のための根拠の一つとなっている」と指摘し、その際プーチン氏は、その中のどの国がロシアとの間で新しい関係を築くことを受け入れるか、判断しようとしているのだと指摘した。同時に、レグツカ氏は、その場合は「東欧諸国の利益が考慮されることのない、否定的な情勢展開シナリオとなるだろう」と指摘した。
加えて、同氏は、ロシアは情勢を緊張させたままにしておき、西側諸国との協議を有利に終わらせることを期待しているとし、そのため近い将来にウクライナ国境沿いからロシア軍部隊を撤退させることはないだろうと予想した。同氏は、「ウクライナ国境沿いのロシアの部隊がさらに増えるかどうかは予想しづらい。しかし、その部隊が近く減ることがないことは確実だ。減らしてしまえば、それはプーチンの弱さ、米国への妥協と捉えられてしまうからだ。そのため、その新しい安全保障機構に関係した、効力の緩慢な『爆弾』は、今後も議題に残り続けることになり、それが欧州のこの地域に非常に否定的な影響をもたらし続けることになる」と発言した。
他方で、米露会談後の肯定的な要素として、同氏は、プーチン氏がバイデン氏から、NATOの東方不拡大に関する確証を得られなかったことであり、米国がウクライナの領土一体性を明言したことだと指摘した。
また同氏は、米国からプーチン氏へのメッセージは、「警告を伴う対話への招待」であるとし、「私たちあるいはウクライナと戦いたいのなら、深刻な被害に注意を払いたまえ」というものだと指摘した。