「ノルド・ストリーム2を巡る米独合意の後、状況は悪化した」=駐独ウクライナ大使
メリニク氏がイヴァノ=フランキウシク州で開催された会議「外交30 強力な国家の戦略」の際に記者団に対して発言した。ウクルインフォルムの記者が伝えた。
大使は、ウクライナにとってノルド・ストリーム2問題を政治空間と議論対象に戻すことは非常に重要だと述べ、「根拠はこうだ。今年の夏に結ばれた独米間合意があり、それは明確な前提条件と結びついている。私たちは、状況がその後、改善するどころか、むしろ悪化したのを目にしている。それにより私たちは、本件を非常に真剣な議論に戻すチャンスを得ている」と強調した。
同時に大使は、ノルド・ストリーム2問題は、ドイツの連立政権が脅威にさらされる可能性があると予想し、「なぜなら連立政権内の各党の立場が異なるからだ」と指摘した。その際、大使は、ノルド・ストリーム2に関しては、ドイツ新政権の連立協約の中にも書き込まれていないことを指摘した。
なお、ショルツ独首相は、ノルド・ストリーム2プロジェクトには純粋に経済的なプロジェクトであり、「政治的要素」はないと発言していた。
11月16日、ドイツの連邦ネットワーク庁(BNetzA)は、独露間新天然ガスパイプライン「ノルド・ストリーム2」の利用開始に必要な認証プロセスを一時的に停止したと発表していた。「ノルド・ストリーム2」は、今年9月に完工しているが、同パイプラインの利用開始にはBNetzAによる同パイプライン認証が必要となっている。
BNetzAのヨヘン・ゴーマン長官は、独露間の新天然ガスパイプライン「ノルド・ストリーム2」は、2022年上半期には稼働しないだろうとする見方を示している。
同天然ガスパイプラインは、ウクライナを迂回する形で、ロシアからドイツへとバルト海を通じて建設されたもの。露国営ガスプロム社などが出資者。
7月21日、米国とドイツは、「ノルド・ストリーム2」に関する合意を発表していた。同合意によれば、ロシアが同パイプラインをウクライナに対して武器として利用した場合には、ドイツが一国で対応する他、欧州連合(EU)に対して制裁を含めた効果的方策を採るよう要請することになる。しかし、同合意は、米国が同ガスパイプラインの完工を容認するものであるとして、米国内外にて批判が出ていた。
とりわけ、同合意につき、ウクライナとポーランドは、独露間ガスパイプライン「ノルド・ストリーム2」はウクライナや中欧全体に対する政治、軍事、エネルギー面の脅威を生み出すものであり、米独合意はそれを止める試みを拒否するものだとして批判している。
同時に、12月7日、ヌーランド米国務次官は、ロシアがウクライナへ更に侵攻した場合、独露間ガスパイプライン「ノルド・ストリーム2」が停止されることを期待していると発言していた。