ロシアは露製コロナワクチンの承認を前線通過検問地点の開通条件としている=三者グループ宇側報道官
26日、ウクライナ国営ロシア語テレビ局「家」にて、TCGウクライナ代表団のオレクシー・アレストヴィチ報道官が発言した。
アレストヴィチ氏は、12月22日の今年最後のTCG会合にて、ウクライナ東部コンタクト・ライン上の通過検問地点全ての開通問題については、合意に至らなかったことを喚起した。その際同氏は、ウクライナ側検問地点は2020年11月10日から開通しているが、被占領地側の検問地点は今も開通していないことを指摘した。
同氏は、「それら(被占領地側検問地点)が閉鎖されているのは、協議結果によってはいわゆる『LPR・DPR』(編集注:ロシア武装集団)の『当事者化』が生じる可能性があるためだ。あちら側(編集注:ロシア側)の課題は、ロシアを紛争から除外し、ロシアを(紛争の)『仲介者』だと思わせることで、ウクライナでは『内戦』が生じているかのように思わせることにある。言うまでもなく、私たちはそれには乗らない。というのも、(ウクライナ東部紛争)平和情勢解決プロセスの基本は、ロシアを紛争当事者とみなすことにあるからだ。文明世界全体がそれ(編集注:ロシアがウクライナ東部紛争の当事者であること)を認めているが、彼ら自身が認めていないのである。ミンスク諸合意もノルマンディ諸合意もロシア連邦が署名に参加しているのであり、それら合意の履行が可能となるのは、ロシア連邦が自らの紛争の当事者と認めた場合だけである。合意はそのように書かれている。これら諸合意の不履行は、ロシアが自らを紛争の当事者と認めないことにより生じているのである」と説明した。
さらに同氏は、ウクライナ東部のロシア占領政権が通過検問地点を閉鎖していることにより、住民の生活に問題が生じていると指摘し、現状、被占領地に暮らす人々は検問地点閉鎖によりウクライナ政府管理地域へ移動して、各種社会保障を受け取ったり、書類手続きを行ったり、世界保健機関(WHO)が承認したコロナワクチンを接種したりすることができていないと説明した。
同氏は、「私たち(ウクライナ政府管理)の通過検問地点は、1年以上開通している。毎日朝8時に稼働している。あとは、あちら側が人々を通してあげるだけなのだ。しかし、彼らは、この問題にて、『スプートニクV』(編集注:露製コロナワクチン)と関連証明書、いわゆる『DPR・LPR』の印鑑のある文書を私たちが承認しなければいけないと主張してきている。つまり、私たちが絶対にしないことを求めているのだ」と発言した。
なお、ウクライナ政府は、WHOが緊急使用のために承認している新型コロナワクチンとその接種証明書のみを承認しており、ロシア製の「スプートニクV」は承認していない。