「ヤルタ会談」のような欧州の分割は不可能=ボレルEU上級代表
5日、ボレル氏がウクライナ東部ルハンシク州スタニツャ・ルハンシカのコンタクト・ライン視察後記者会見の際に発言した。ウクルインフォルムの記者が伝えた。
ボレル氏は、「彼ら(編集注:ロシア連邦)は、通常とはかなり異なる手段で国境に軍を集結させているだけでなく、欧州における安全保障について2つの協定案の議論をも要求した。しかし、私たちは現在、ヤルタの時代(編集注:1945年のヤルタ会談のこと)を生きているのではない。二つの巨大な勢力による影響圏の線引きは、2021、2022年には不可能である。欧州の安全保障もウクライナの安全保障も、というのもウクライナも欧州の一部だからであるが、いずれも、何よりウクライナ人と欧州人に関わることなのだ」と強調した。
さらにボレル氏は、自身の今回のウクライナ訪問はEUがウクライナの独立、主権、領土一体性を完全に支持しており、紛争の沈静化のためにウクライナと共に働く準備があることを示すものであると説明した。また、同氏は、緊張を緩和協議を通じて解決策を見つけ出す願望は、ウクライナに対するどのような軍事侵攻もロシアにとって多大な結果と非常に高い代償をもたらすという、EUによる堅固な立場と断固とした義務と並行して存在すると指摘した。
同氏は、「ウクライナの安全なくして、欧州の安全は一切あり得ない。欧州の安全保障に関するどのような議論も、EUとウクライナを含めなければならないことは自明である。ウクライナに関するどのような議論も、ウクライナが参加した上で行われなければならない。欧州の安全保障に関する話はいかなるものも、単に協議が必要というだけでなく、欧州の人々が参加する協議でなければならない。まさにそのために、私たちは、米国、北大西洋条約機構(NATO)、その他の近しい同志パートナーたちと強力な調整を続けているのだ。それは、私たちが今日表明した、ウクライナへのサポートの一部である」と発言した。
なお、1月4〜6日、ボレル氏はウクライナを訪問している。5日には、ボレル氏は、クレーバ・ウクライナ外相とともにルハンシク州の前線を訪問し、その後キーウ(キエフ)にてウクライナ政権関係者と会談する予定。