「痛みある」対露制裁を準備=米国務次官
11日、ヌーランド米国務次官が記者会見時に発言した。
ヌーランド氏は、「ロシアこそがこの危機を何もないところから作り出したのだ。ロシアこそが、ウクライナ国境沿いに10万の兵力を集結させたのだ。ロシアこそが、ウクライナにおける国内破壊工作、不安定化、様々な行動を他人の旗の下で作り出したのだ。ロシアこそが自らの行動を正当化するために、ウクライナ、米国、NATOについての偽情報と嘘を拡散しているのだ」と発言した。
同氏は、ロシアこそが侵略者であり、2014年にウクライナ領の一部を占領したのであり、ウクライナは単に平和で民主的で欧州的な未来を求めているだけだと強調した。
さらに同氏は、北大西洋条約機構(NATO)は防衛機構であり、加盟国の防衛のみを目的としており、他者の脅威となはならない、NATOへの加盟は、加盟を希望する国と加盟国のみの問題だと指摘した。
また、対露制裁について、ヌーランド氏は、「非常に痛みある」制裁パッケージを準備することで欧州同盟国との間で合意があるとし、「私たちは、同盟国・パートナー国との協議において強い確信を抱いている。私たちは、2か月半、大統領をはじめ、あらゆるレベルでその作業をしている」と発言した。
その際同氏は、ロシアに対して発動すべき金融制裁について、欧米間で共通理解があると指摘した。さらに、「ロシアに痛みある影響をもたらす」輸出制限についても議論されていると伝えた。
また、制裁発動タイミングについて、同氏は、想定されている複数のシナリオに応じて、制裁は発動可能となっていると説明した。
同氏は、「米国は独自の方策セットを発動可能となっており、欧州やその他の同盟国は若干異なりつつも、同様にロシアにとって痛みをもたらす、並行した行動を取ることができるようになっている」と指摘した。
独露間新天然ガスパイプライン「ノルド・ストリーム2」については、ヌーランド氏は、「現在、私たちは、同ガスパイプラインの稼働に関係する問題の検討を遅らせるよう、ドイツ側や欧州連合(EU)と作業をしている」と発言した。その際同氏は、現ドイツ政府はすでにその方向で重要な行動をとったと指摘した。同氏は、「彼ら(現ドイツ政府)も、ノルド・ストリーム2がどうあるべきかということに関する、私たちが前政府との間で締結した合意を確認した。つまり、ロシアがウクライナへの侵略に踏み切った場合に、それを止めることについてだ」と強調した。
これに先立ち、先週、ベーアボック独外相は、ノルド・ストリーム2の認証プロセスの停止は、同パイプラインがEUの要件に合致していないからだと発言していた。さらにベーアボック氏は、現ドイツ政府は、ロシアが天然ガスを武器として使ったり、ウクライナに対する侵略を強めた場合には、現ドイツ政府はノルド・ストリーム2プロジェクトを止める準備があると認めていた。