EU、第6対露制裁パッケージ発表 露最大銀行のSWIFT除外や石油禁輸など
フォンデアライエン委員長が欧州議会会合の際に発表した。
石油禁輸につき、フォンデアライエン氏は、「首脳がヴェルサイユで会談した際に、彼らはロシアの化石燃料への依存を段階的に絶っていくことで合意していた。最新の制裁パッケージにおいて、私たちは石炭から始めた。今日、私たちは、ロシアの石油の依存に対応する。はっきりさせておこう。それは容易ではない。なぜなら、加盟国のいくつかは、ロシアの石油に大きく依存しているからだ。しかし、私たちは、それを行うことが義務付けられている。そのため、今日私たちは、あらゆるロシアの石油を欧州にて禁止することを提案する」と発言した。
同氏はまた、その決定はロシア発の石油の輸入全体に関わるものだとし、原油も加工製品も対象となると指摘した。同時に、代替供給先を確保できるように「整えられた手段」で禁輸は実現されていくとも述べた。
同氏は、「私たちは、グローバル市場における否定的な影響が最小化されるよう、非常に慎重に行動する。そのため、私たちは、ロシアの原油供給を止めるのは今後6か月間、石油製品は年内に止める」と発言した。
さらにフォンデアライエン氏は、同日、新たな対露制裁パッケージも発表した。同氏は「今日、私たちは、私たちの第6制裁パッケージを発表する。第一に、私たちは、ブチャで戦争犯罪を実行した軍の高級将校、人物や、マリウポリ市の非人間的封鎖に罪のある人物をリストに加える。私たちは、あなたが何者か知っている。私たちは、あなた方の責任を追及する。あなた方はそれを回避できない」と発言した。
同氏はまた、今回の制裁の第2項目はSWIFTからのロシア最大の銀行「ズベルバンク」(ロシアの銀行分野の約37%を担う)や、その他大型銀行の除外だと発表した。同氏は、この措置により、ロシアの金融分野の世界金融システムからの完全な孤立が確保されると指摘した。
さらに、同氏は、今回、欧州の機関によるロシア企業に対するあらゆる金融・コンサルティングのサービス提供が禁止されると発表した。
加えて、フォンデアライエン氏は、欧州委員会はロシアのプロパガンダメディアの情報拡散手段を完全に遮断することを提案すると発表した。同氏は、「私たちは、私たちのテレビ放送にて、3つのロシアの国営放送局の活動を禁止する。これらの局は、どのような規模でも、どのような形態でも、ケーブルだろうが衛星だろうがインターネットだろうが、あるいはスマートフォンのアプリを通じてだろうが、EUにおけるコンテンツの拡散を認められなくなる。私たちは、これらのテレビ局がプーチンの嘘とプロパガンダを攻撃的に拡散するための手段であることを特定した。私たちは、もはやその嘘の拡散のための舞台を彼らに与えることはできない」と強調した。
これに先立ち、EUは4月8日、ロシアの対ウクライナ軍事侵略を受け、第5対露制裁パッケージを採択したと発表していた。
ゼレンシキー氏は、EUの第5制裁パッケージが採択された後、今後のウクライナ外交の優先課題は(各国による)ロシアの石油・天然ガスの制限導入となると発言していた。
なお、3月28日時点で、欧州ではすでに30か国にて、完全あるいは部分的にロシアのプロパガンダメディアの発信が禁止されており、また同時に各国でウクライナのテレビ・ラジオコンテンツの発信が始まっていた。日本でも、NHKワールドJAPANは、3日からインターネット配信にウクライナ語の字幕提供を始め、また14日夜からウクライナ語のページを追加している。同時に、露国営プロパガンダメディアのスプートニク日本語版は、引き続き日本語による発信を続けている。