ウクライナ国会、キーウ区行政裁判所の解体と新裁判所の設置を決定
関連法案第5369を最高会議議員310名が賛成した(過半数は226)。ジェレズニャク野党「声党」会派議員がテレグラム・チャンネルで伝えた。
同法は、現行の「キーウ区行政裁判所」の解体を定めるもの。同時に、新たに管轄をキーウ市とする「キーウ市区行政裁判所」を同市内に新設する。同法発効日から、これまでの「キーウ区行政裁判所」は司法執行権限を失い、新設裁判所の設立までは、他の裁判所が同権限を代行することになる。
なお、今回解体が決定された「キーウ区行政裁判所」は、社会での批判を呼び起こす判決を多く採択してきたことで知られている。同裁判所のスキャンダルな判決としては、新しく制定されたウクライナ語正書法の無効化、キーウ市議会によるモスクワ大通りからバンデラ大通りへの改名決定の無効化、プリヴァト銀行国営化決定の違法認定、ウクライナ正教会モスクワ聖庁の改名プロセスの停止、汚職容疑のかけられたロマン・ナシーロウ氏の国家会計庁長官ポストへの復帰などが知られる。
これに先立ち、2019年7月26日、ウクライナの国家汚職対策局(NABU)と検事総局特別捜査局は、キーウ市区行政裁判所に家宅捜索を実施。同年8月2日、検事総局は、ヴォウク氏にすでに容疑文が手交済みと発表。
本年11月4日、高等反汚職裁判所は、出廷要請を拒否し続けるヴォウク被告人らを強制的に出廷させることを決定。11月18日、ヴォウク被告人らは、自ら裁判所に出廷。現在、裁判プロセスが進行している。
米国務省は9日、ウクライナのキーウ区行政裁判所の所長であり、汚職犯罪捜査の容疑者として起訴されているパウロ・ヴォウク氏に対して、汚職と司法妨害を根拠に制裁を発動したと発表した。
汚職対策を専門とする市民活動家は、キーウ区行政裁判所の解体が必要だと主張していた。今回採択された法案は、2021年4月にゼレンシキー宇大統領が最高会議に登録したもの。