EU、ウクライナの司法改革の進展を歓迎

EU、ウクライナの司法改革の進展を歓迎

ウクルインフォルム
欧州連合(EU)は13日、ウクライナの司法界の最高決定機関「高等司法評議会」の改革への支持を表明しつつ、さらなる進展への期待を表明した。

スタノEU報道官声明が発出された

スタノ報道官は、「最近の(編集注:ウクライナの)裁判官大会による高等司法評議会の新しいメンバーの任命は、その司法運営の重要機関の活動を再生することを可能とするものである。EUは、高等司法評議会の改革を断固として支持しており、この肯定的な傾向が継続されることを期待している」と発言した。

スタノ氏はまた、ウクライナ憲法裁判所の改革と欧州委員会によるウクライナのEU加盟申請に関する結論上の勧告との一致、及び、ベニス委員会の勧告との一致を注意深く追っていると伝えた。

その上で同氏は、「特に、12月19日に公開されたベニス委員会の見解は、(1)憲法裁判所候補者の排除は専門的能力を根拠にも行えるようにする(パラ63)、(2)専門家諮問グループの数は7人まで増やされるべきで、7人目は国際ドナーの枠から選出されるべき、というものである。欧州委員会は、ウクライナからそれに応じた法案の調整を期待している」と指摘した。

さらに、スタノ氏は、これら改革の導入により、ウクライナはEU加盟プロセスを前進させるだけでなく、ウクライナ国民の司法に対する信頼も強化することになろうと発言した。

そして、同氏は、「司法改革における進展は、ウクライナと法の支配の強靭性を強化する上で非常に重要であり続けている」と伝えた。

これに先立ち、11、12日、ウクライナ裁判官大会は、高等司法評議会の新しいメンバー8人を選出していた。ウクライナに駐在するG7の大使たちによるウクライナ国内改革支援グループ「G7大使ウクライナ・サポート・グループ」も10日に、8人の新しい高等司法評議会メンバーの任命と、同評議会の速やかな活動の開始への期待を表明していた。

なお、2021年、ウクライナ最高会議は、同国の裁判(司法)改革を行う上で重要な法案を複数採択していた。

同年8月3日、ゼレンシキー大統領は、裁判改革を実現するための重要法とされる、高等裁判官選考委員会再編法(第3711ーd)と、高等司法評議会再編法(第5068)に署名し、発効させている。両法は、国際専門家を参加させた上でのウクライナ司法政権の人員刷新を定めたもの。

とりわけ、高等司法評議会再編法は、高等司法評議会のメンバーの公正性の調査手続きを定め、また裁判官に対する懲罰手続きも変更するものとなっている。「高等司法評議会」とは、裁判官の任命や、裁判官への懲罰、解任を最終的に決定する、司法システム上の重要機関である。また同法は、「倫理評議会」の設置を定めている。同評議会は、ウクライナ裁判官評議会が定める裁判官あるいは退官裁判官から計3名と、国際機関が定める3名(国際専門家)の計6名で構成される。この際、倫理評議会では、「公正選考委員会」同様、国際専門家が決定的投票権を有すことになっている。

この倫理評議会は、高等司法評議会のメンバー候補の専門倫理と公正さの基準を調査、及び評議会設立後3か月以内に高等司法評議会現職メンバーの専門倫理と公正さの基準を調査する。倫理評議会は、評価に応じて現職メンバーの解任勧告を行うことができる。

2022年6月17日、欧州委員会は、ウクライナへのEU加盟候補国地位付与の勧告に並び、今後ウクライナにより行われる課題のリストを公開していた。その際の勧告には、主に、法の支配強化と汚職対策の分野の課題が記されており、その中には「高等司法評議会メンバーの候補の倫理評議会による公正性審査と、ウクライナ高等裁判官選考委員会創設のための候補選択の終了」も含まれていた。


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