「EUは平和のエスカレーションを見たいが、ロシアが戦争のエスカレーションを止めない」=欧州理事会議長
ミシェル欧州理事会議長が欧州議会本会議でのスピーチの際に発言した。ウクルインフォルムの特派員が伝えた。
ミシェル氏は、「私たちは、ゼレンシキー大統領の提案した『正義ある平和の公式』を支持している。同『公式』は、国連憲章と国際法尊重に基づいている。私たちは、国連総会にてロシア軍をウクライナ領から撤退させるよう呼びかける決議への投票時に行ったのと同様、国際社会をその平和の努力の周りに団結させるように一生懸命働いている。その決議は、過半数、141か国の賛成で採択された。しかし、その他の国の説得作業は、引き続き非常に大きな挑戦のままである」と発言した。
同氏はまた、ゼレンシキー大統領が2月9日にEUの首脳会議に出席したことを喚起し、「その首脳会議本会議は、ウクライナに完全な支持を表明する機会となった。私たちは、その支持を必要な限り提供し続ける。なぜなら、ウクライナにとって敗北は選択肢にないからだ。(中略)平和を勝ち取るためには、私たちは、私たちの防衛と私たちの能力を強化しなければならない。ロシアが攻撃を開始してから3日後には、私たちはウクライナのために武器と弾薬を提供する決定を採択した。それがパラダイムシフトを意味したのだ。私は、それが私たちの欧州防衛の誕生だったと確信している」と指摘した。
さらに同氏は、EU加盟国が自国防衛を強化するためには、自国の防衛産業の能力の発展とウクライナのために必要な支援を緊急に提供することが必要だと強調した。同氏は、「過去数か月、ロシア戦力は、1日に2万から5万の火砲砲弾を放っており、よってウクライナは自衛のために弾薬が必要である。まさにそのために、私たちは、エストニアのカヤ・カッラス首相による、ウクライナの友人のために(弾薬の)共同購入を組織し、その提供を早めるという提案につき、作業している。ボレルEU上級代表は、その支援の履行に向けて具体的な計画を作成した」と発言した。
加えて同氏は、EUはウクライナにて平和のエスカレーションを見たいと思っているが、しかしロシアが戦争のエスカレーションを止めないと指摘した。また同氏は、この戦争を終わらせて、平和へと移行するためには、侵略国による1つの決定だけが必要だとし、それは、ロシアが武器をおさめ、ロシア軍を国際的に認められた国境内(編集注:クリミアを含む)のウクライナ領から撤退させる決定だと発言した。
その上で同氏は、「残念ながら、私たちは、クレムリンがその方向に進む意向を有していることを示す兆候は一切目にしていない。それにもかかわらず、私たちは、平和のために闘い続け、外交上の闘いを行っている」と発言した。