プーチンとの妥協は致命的な悪影響をもたらす=クレーバ宇外相
クレーバ外相が独ヴェルト紙への投稿記事にて発言した。
クレーバ氏は、「ウクライナの領土一体性は回復せねばならず、モスクワとの妥協は将来の世界秩序にとって致命的な悪影響をもたらす」と指摘した。
また同氏は、ウクライナ東部にてロシアの進軍が弱まり、ウクライナによる反攻が待たれる中で、世界中からロシアとウクライナの和平協議、即時停戦への呼びかけの声が出てきていると指摘した。同氏は、他方でこれらの声はロシアが善意での協議や戦闘行為の停止に真の関心は示していないという事実を無視していると指摘した。さらに同氏は、ロシアが発する言葉には何の価値もなく、ロシアはいずれにせよ、民間人をより多く殺害して、より多くの領土を制圧するために攻撃を続けると説明した。
その上で同氏は、「ウクライナほど平和を望んでいる国は世界に他にない。しかし、私たちはまた、真の平和は公正で強靭なものでなければならないことを知っている。ウクライナによるそのような平和への道に関する見方は現実的かつ具体的である」と強調した。その際同氏は、ゼレンシキー大統領による10項目からなる「平和の公式」について喚起し、全ての国に同「公式」を支持するよう要請した。
その他同氏は、ウクライナ政府は全ての提案を分析しており、ウクライナの領土一体性、国連憲章の原則、国連総会の関連決議を尊重するイニシアティブはいかなるものも歓迎するが、他方で、ウクライナに対する領土面での妥協の提案はいかなるものも拒否すると指摘した。
同氏は、「私たちはこの戦争を決して望んでいなかったし、私たちは国際法と国連憲章により私たちに属する物以上のものは欲していない。これは現実的かつ合法的な要求であり、そこにはマクシマリズム的(編集注:最大限の利益を追求するような考え)なものは何一つない。私たちは、一度たりとも誰かを攻めたことはないし、(他国の)領土を要求したこともない。私たちは、ロシアが私たちから盗んだものを返すことを望んでいるだけだ。それは、ウクライナ領土のことを言っているのではない。ロシアは欧州から平和を、世界から安定を盗んだのだ」と強調した。
また同氏は、欧州においては、誰かに脅威が存在することは、全員に脅威が存在することと同義であるとし、ロシアのウクライナに向けて放たられたミサイルは、ポーランド、ルーマニア、モルドバにも脅威をもたらしているし、貿易路は見出されて、黒海の生態系がダメージを受けていると指摘した。
加えて同氏は、ドイツを含め、2022年2月以降、疲れることなくウクライナを支援してきた同盟国、パートナー国に深謝を伝え、それらの支援のおかげで多くの人の命を救い、ウクライナが生き延びることができていると発言した。
そして同氏は、「欧州大西洋の安全保障の未来は、ウクライナの戦場で決まる。もし私たちが今過ちを犯して、それは全ての他の潜在的侵略者にとっての教訓としてプーチンに勝利するのではなく、侵略への報酬を何らかの形で差し出すことを決めたら、ウクライナ、欧州、世界の未来は脅威に晒されることになる」と指摘した。
その上で同氏は、「真の平和」が意味するのは、国際的に認められた国境内でのウクライナの回復であり、ウクライナ領クリミアにおけるクリミア・タタール人にとっての安全な故郷であり、黒海を軍艦ではなく穀物を載せた船が走ることであり、法の支配で一致した世界のことであると強調した。