ウクライナ外務省、国連による「ウクライナの宗教自由の制限」との報告に反論

ウクライナ外務省、国連による「ウクライナの宗教自由の制限」との報告に反論

ウクルインフォルム
国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)がウクライナにてロシアと繋がりのある宗教団体の活動を禁止する法律につき「根拠が不十分」だと報告したことに対して、ウクライナ外務省は2日、反論のコメントを発出した。

ウクライナ外務省広報室がコメントを公表した

外務省は、「国連による、『宗教団体の活動分野における憲法秩序の保護』法改正に対する結論を、事実を歪曲しているものとして否定する」と伝えた。

同省はその際、指摘された法律は、ウクライナに現存する教会を禁止することを想定したものではなく、ウクライナに対して武力侵略を実行した/実行している、さらに/ないし、ウクライナの領土の一部を一時的に占領している国に管理の中心地を持つウクライナの宗教団体や、ウクライナに対する武力侵略を支持する宗教団体の従属を認めない内容だと説明した。

そして同省は、「国連に対して、ロシアがウクライナに対する侵略戦争において宗教を体系的に武器として利用していることを喚起する。ロシアは、国家の隷属下にあるロシア正教会を通じて、ウクライナ人に対して蛮行を神聖化し、犯罪を行なった犯罪者を賞賛している。その文脈でウクライナは、侵略国による、とりわけロシアにて、国家と融合し、ウクライナの国家性、文化、アイデンティティの破滅させるという目標を明確に宣言している宗教団体を利用した、破壊的な影響から自国民を守る義務がある」と訴えた。

加えて同省は、同法は正当な目的を持ち、民主主義手続きを定め、最終的な判断は裁判所が行う内容となっている、民主主義社会に必要なものだと説明した。また、同法は、欧州評議会議員総会決議にて指摘のある、「犯罪政権のイデオロギー的延長」的存在であるロシア正教会の圧力から人々を解放するだけであり、信者の信心へ負荷をかけるものではないと主張した。

同時に同省は、侵略戦争中に宗教の自由に対して数々の犯罪を行なったのはロシアであるとし、信者や宗教関係者の意図的な殺人、ウクライナ領内の宗教施設や聖地の破壊、占領下ウクライナ領でのロシア正教会に属さない宗教共同体への迫害の事例を喚起した。

その上で外務省は、「私たちは、国連人権監視団が自らの報告の中で、ウクライナにおける宗教の自由の本当の状況につきより客観的な評価を下し、ウクライナの信者、宗教団体・指導者、教会資産に対するロシアの犯罪を確認し続けることを期待している」と伝えた。

これに先立ち、2024年8月20日、ウクライナ最高会議は、「宗教団体の活動分野における憲法秩序の保護」法を採択していた。同法は、ウクライナ領内におけるロシア連邦と関連する宗教団体の活動を禁止することを定めたもの。

2024年12月31日、OHCHRは、このウクライナの法律につき、「根拠不十分」だとし、「国家安全保障への脅威は信仰の自由制限にとって十分な根拠ではない」と表明していた。


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