今年はウクライナにとって持続力のテストとなる=バーンズ米CIA長官

米国のバーンズ中央情報局(CIA)長官は、プーチン露大統領はウクライナを支配することに執着しているとし、今年はウクライナにとって持続力のテストとなるだろうと考えている。そして、西側はウクライナへの大規模支援を継続しなければならないとも主張している。

バーンズCIA長官がフォーリン・アフェアーズへ寄稿した

バーンズ氏は、「私は、過去20年間の大半をウラジーミル・プーチン露大統領が体現する不満、野心、不安の燃えやすい組み合わせを理解しようとしてきた」と書いている。

同氏は、プーチンが今もウクライナ支配の確立に執着し続けていると指摘し、ウクライナ支配なくしては「ロシアが大国になることも、彼がロシアの偉大な指導者になることもできないと信じている」と説明している。

また同氏は、ウクライナにおける戦争で少なくとも31万5000人のロシア兵が死亡あるいは負傷していると伝え、さらにロシアは保有していた戦車の3分の2を失い、プーチンが誇っていたロシア軍現代化計画も空洞化したと指摘した。

そして同氏は、「それら全ては、西側の支援を受けたウクライナ兵の勇気と技術の直接の賜物だ」と強調した。

さらに同氏は、ロシア経済は長期的な後退を余儀なくされ、同時にロシア連邦自体が中国の経済的属国と化していると指摘した上で、プーチンの過剰な野望は裏目に出ており、NATOをより大きくし、強くしているとも述べた。

同時に同氏は、プーチンはロシアを弾圧で維持しようとしているが、同時に対ウクライナ戦争がクレムリン政権を内側から静かに食い破ってきているとも指摘している。

他方で、同氏は、ウクライナにとっては困難な戦いが続くだろうとも述べている。同氏は、「今年は、おそらくウクライナの戦場では困難になり、持続力のテストとなり、その結果は自らの自由と独立の維持を巡る国の英雄的な戦いをはるかに超えていくものとなるだろう」と予測している。

同氏は、プーチンは、中国からの部品供給を使って自らの防衛生産を回復し、イランと北朝鮮からの武器と弾薬の供給を得ている間に、時間は自分に有利に働き、ウクライナをすりつぶし、西側支援者を疲弊させられることにかけ続けていると指摘している。

その上で、同氏は、「ウクライナの課題は、前線で進展を生み出すだけでなく、その背後のより深い地点で彼らを攻撃し、黒海で着実に成果を積み上げることを通じて、プーチンの傲慢さに穴を空け、紛争継続の代償の大きさを示すことにある」と強調している。

同氏は、その際プーチンは再び核兵器による威嚇に出るかもしれないとし、エスカレーションするリスクを完全に否定するのは愚かだが、不必要にそれを恐ることも等しく愚かだとも指摘している。

そして同氏は、「成功への鍵は、西側の対ウクライナ支援の維持にある。米国の防衛予算の5%未満というのは、米国にとっての著しい地政学的見返りと米国産業界にとっても目立った見返りのある比較的に控えめな投資だ」と主張している。

加えて同氏は、ウクライナへ武器を供与し続けることで、ウクライナは立場を強め、真剣な協議のための機会が現れた時に強い立場を得ることになると指摘し、「それは、ウクライナにとっての長期的勝利を、ロシアにとっての戦略的敗北を保障するチャンスを提供する」と主張した。

写真:ゲッティ