ベリングキャット、キーウの小児病院への攻撃が露ミサイル「Kh101」であることを特定

オンライン上の公開情報の分析調査で知られる民間調査グループ「ベリングキャット」やその他の専門家たちは、8日のキーウ市内の小児病院「オフマトディト」への攻撃がロシア軍の巡航ミサイル「Kh101」で行われたものであるとする分析結果を発表している。

ベリングキャットが分析報告を公開した

ベリングキャットは、ソーシャルメディア上の動画やミサイルの3Dモデルを用いた分析によりそれがロシアの巡航ミサイル「Kh101」であることとの結論を出している。この結論は、オスロ大学のミサイル技術の専門家ファビアン・ホフマンが出した意見とも一致するという。

さらに、ミドルベリー国際大学院モントレー校の核兵器とミサイルの専門家であるジェフリー・ルイス氏もまた、「オフマトディト」攻撃後のソーシャルメディア上で公開された画像にて「Kh101」を見ることができるとする結論を出している。

ソーシャルメディア上で公開されている動画では、同ミサイルに後部のジェットエンジンに似た物や中心部近くの2枚の短い翼部といった複数の特徴が見られる。同時に、病院に着弾したミサイルのスクリーンショットをミサイル「Kh101」の3Dモデルと重ねると両者が共通する形状を有していることがわかる。

ベリングキャットは、「ロシア軍のみが使用する巡航ミサイル『Kh101』の特徴である」と指摘している。

ベリングキャットの専門家はまた、ソーシャルメディアで拡散されている、病院攻撃に使われたミサイルが米国製ミサイル「AIM120ナサムス」だとする別の主張の検証も行っている。その際、ベリングキャットは、着弾したミサイルにはジェットエンジンがある点を指摘した上で、「それは『Kh101』にはあるが、『AIM120』にはない非常に顕著な特徴である。さらに、病院に着弾したミサイル中心部の翼部は、『AIM120』の翼部と合致しない」と説明している。

これに先立ち、ウクライナへの全面侵略戦争を続けるロシア軍は、キーウ、ドニプロ、クリヴィー・リフ、スロヴヤンシク、クラマトルシクに対して大規模ミサイル攻撃を行っていた。

ウクライナ保安庁(SBU)は、キーウの小児病院「オフマトディト」へ着弾したミサイルの破片から、それがロシア軍のミサイル「Kh101」であると発表していた。

米国の戦争研究所(ISW)は、ロシアの政権関係者などが8日のキーウ市内の小児病院「オフマトディト」へのミサイル攻撃の責任から逃れようと、偽情報を拡散していると報告している

なお、ベリングキャットは、2014年以降、ロシア・ウクライナ戦争についてオンライン上の公開情報を用いた分析調査を行なっている団体。これまでに、2014年7月のMH17撃墜がロシア軍のブークで行われたことを示す調査や、同年夏のロシア領からウクライナ領へ向けた砲撃を特定した報告などで知られる。