ロシア、外相と国連代表がキーウ小児病院攻撃につき異なる嘘を展開

ロシアのラヴロフ外相とネベンジャ国連ロシア連邦常駐代表は、7月8日のキーウ市内の小児病院「オフマトディト」へのミサイル攻撃について、互いに矛盾する異なる偽情報を述べていた。

17日、キスリツャ国連ウクライナ常駐代表がウクルインフォルム特派員に指摘した。

キスリツャ氏は、ネベンジャ露常駐代表は小児病院「オフマトディト」にはウクライナのミサイルが着弾したと主張しているのに対し、ラヴロフ露外相はロシアのミサイルがウクライナの防空システムに撃墜されて落下したと主張していると指摘する。

具体的には、7月9日の国連安保理会合の際、ネベンジャ露常駐代表は「ウクライナのインターネットユーザーにより掲載された動画には(中略)小児病院のある地区に一切破損、障害のない形で、ウクライナの防空ミサイルが単独で飛来しているのが見える。明確な差異のある特徴的な翼部や、その他の特徴から、それを他の物と混同することは不可能だ」と発言した。

一方、ラヴロフ露外相は、7月17日の国連本部での記者会見時、部下であるネベンジャ氏の指摘を完全に否定する発言を行っている。その際ラヴロフ氏は、「最近、私たちが軍事電力インフラと軍事と関係する電力インフラを攻撃した際、(編集注:ロシア軍発射の)ミサイルの1つがウクライナの防空システムで撃墜された。そのミサイルの破片がキーウの小児病院『オフマトディト』に落下したのだ」と発言した。

これにつき、キスリツャ・ウクライナ常駐代表は、ソーシャルメディア「X」アカウントにて、2022年2月にも国連安保理会合の際に「私はネベンジャ氏に対して、自身のモスクワの上司にもっと電話して、ニューヨークで吐く嘘っぱちについて擦り合わせるようアドバイスした」とコメントした

その際キスリツャ氏は、「そして、今回もまた、ロシアのミサイル、その破片が『オフマトディト』に着弾したとする、7月17日に言及のあったラヴロフ氏の見解は、国連安保理での7月9日のネベンジャ氏のおしゃべりと一致していないのだ」と指摘し、「『特徴的な翼部』というのはどうなったのだ?」と皮肉を述べている。

これに先立ち、ウクライナへの全面侵略戦争を続けるロシア軍は7月8日、キーウ、ドニプロ、クリヴィー・リフ、スロヴヤンシク、クラマトルシクに対して大規模ミサイル攻撃を行っていた。

ウクライナ保安庁(SBU)は、キーウの小児病院「オフマトディト」へ着弾したミサイルの破片から、それがロシア軍のミサイル「Kh101」であると発表していた。

米国の戦争研究所(ISW)は、ロシアの政権関係者などが8日のキーウ市内の小児病院「オフマトディト」へのミサイル攻撃の責任から逃れようと、偽情報を拡散していると報告している

オンライン上の公開情報の分析調査で知られる民間調査グループ「ベリングキャット」やその他の専門家たちは、8日の「オフマトディト」への攻撃がロシア軍の巡航ミサイル「Kh101」で行われたものであるとする分析結果を発表している

8日の露軍による攻撃によるウクライナ全土の死者数は、40人を超えている。