ウクライナの国家捜査局、保安庁による記者追跡事件の捜査実施へ
ウクライナの検事総局は6日、調査報道プロジェクト「ビフス・インフォ」による同プロジェクトの記者が保安庁(SBU)に追跡されていたとする発表につき、国家捜査局に対して本件の刑事捜査を行うよう指示を出した。
検事総局がテレグラム・チャンネルで伝えた。
捜査は、刑法典第359条1項に従い、キーウ州の秘匿情報取得特殊機材の違法な設置・使用に関して行われるという。
検事総局は、当該刑法違反行為には、法執行機関職員が関与している可能性があることを考慮して、今回の刑事捜査は、国家捜査局の専権事項に該当すると説明している。
コースチン刑事総長は、「表現の自由は、民主的社会の不可分の要素であり、法治国家の基本原則である。記者の権利の侵害は、看過できず、ていねいな検討と適切な対応の対象となる。検察機関は、記者をあらゆる形態の圧力と迫害からの保護を保証し、記者がその仕事に関する情報を得られるように保証する義務がある。正にその目的にて、検事総局には、記者権利保護プラットフォームが活動している」と伝えた。
これに先立ち、1月16日、調査報道プロジェクトとして知られる「Bihus」のデニス・ビフス代表は、Bihusのメンバーが禁止された物品を使用したなどとする挑発的な内容の動画が拡散されたと発表し、さらに、メンバーが違法に尾行されたり、盗聴されたりしてきたと発表した。
2月5日、調査報道プロジェクト「ビフス・インフォ」は、2023年12月27日に同グループ編集部が滞在した休暇施設の部屋に隠しカメラを設置した作戦を実施した人物を特定したと発表していた。同休暇施設の監視カメラの動画により特定できたという。
ビフスの記者たちは、「同作戦を担当していたのは、SBUの国家性保護局である。動画から判断するに、機材の設置には、SBU作戦技術支援局も関与した」と発表していた。
SBUは同日、同局に関する人事決定を採択したと公表していた。
ウクライナの報道機関を調査する市民団体「マス情報研究所(IMI)」のオクサーナ・ロマニューク所長は1月16日、ウクライナの報道関係者が体系的な圧力を受けているとして、政権に対応を要求した。同氏は、メディアを狙った攻撃、追跡、秘密裏の動画撮影というのは、民主国家では看過し得ないものだと訴えていた。
また、同国最高会議(国会)で「表現の自由」委員会の委員長を務めるヤロスラウ・ユルチシン委員長(野党会派「声党」所属)は、法執行機関に対する要請を準備しているとコメントしていた。