ゼレンシキー大統領、ドイツの首相候補たちにウクライナのEU加盟やガスパイプラインにつき質問
ゼレンシキー大統領は、ミュンヘン安全保障会議(MSC)の主催したパネルディスカッション「世界におけるドイツの役割」に参加した際、ドイツの次期首相こうほたちに対して、ウクライナの欧州連合(EU)加盟に関する複数の質問を提示した。
26日、ウクライナ大統領府広報室が伝えた。
ゼレンシキー大統領は、ドイツの議会選挙の行われる9月26日は、ドイツのみならずウクライナにとっても重要となるとし、「ドイツ議会の選挙は私たちにとっても意義がある。なぜなら、ドイツは、私たちの重要パートナーだからだ。同国はノルマンディ・フォーマットの重要な一角であり、私たちが欧州共同体へ進む上での同盟国でもある」と指摘した。大統領は、正にそのために、次期ドイツ首相の対ウクライナ政策が自身にとって極めて重要となるのだと指摘した。
その上で大統領は、ドイツの各政治勢力の次期首相候補に対して、「あなたは、欧州プロジェクトがウクライナ抜きで完了し、完全であるとの考えに同意するか? あなたは、ウクライナの欧州への道は双方向の動きであるべきだと思うか? 約100人のウクライナ人が欧州的選択のために命を投げ出した尊厳革命(編集注:マイダン革命)から7年が経過した。欧州は、ウクライナのEU加盟問題からそのように長い間隠れ続けることに疲れてはいないか? 外交的に(明言を)回避することから、明確な返答、条件、行動、期限の話へと移行する時が来てはいないだろうか?」とする、ウクライナのEU加盟に関する質問を投げかけた。
さらにゼレンシキー大統領は、ウクライナの国境付近には兵力約10万のロシア軍が集結しているとし、その状況下において欧州の首脳たちはウクライナに然るべき安全保障上の保証を与えることを支持しているというが、同時にウクライナは北大西洋条約機構(NATO)加盟国ではないのだと喚起し、「つまり、私たちがNATOに加盟していない中で、一体どのような安全保障上の保証の話がなされているのだろうか」と質問した。
大統領はさらに、ドイツ首相候補たちに対して、独露間で建設が続けられるガスパイプライン「ノルド・ストリーム2」について、「ロシアがクリミアを併合し、ウクライナ東部の戦争を続け、ドンバスでは1万4000人以上が戦争で亡くなり、150万の人が家を離れざるを得なくなった。これらが、ウクライナの領土一体性が回復される前にEUとロシアの首脳会談の再会という案を真剣に検討するわけにはいかないことの十分な理由だと、あなたたちは考えているだろうか?」と質問した。
なお、ドイツでは、2021年9月に議会選挙が行われる。アンゲラ・メルケル独首相は、首相職を続投する予定はないと発表している。