ウクライナ英字紙「キーウ・ポスト」、活動停止
8日、キーウ・ポスト紙がウェブサイト上で発表した。
発表には、キーウ・ポスト紙を所有するアドナン・キヴァン氏が、同紙は「短期間」活動を停止すると述べたことが伝えられている。
キヴァン氏は、「私たちは、いつか同紙をより大きく、より良い形で再開することを望んでいる。私は、キーウ・ポストのチーム全体とブライアン・ボナー(編集注:同紙編集長)のウクライナと独立したジャーナリズムへの25年間の奉仕に感謝している」と伝えた。
発表にはまた、ボナー編集長が同紙の運営停止後、アーカイブを保存した後に引退すると伝えたと書かれている。
キヴァン氏はまた同日、NVビジネス誌に対して、キーウ・ポスト紙を刷新する決定を下したと述べている。同氏は、「私たちは、キーウ・ポストの発行を止め、刷新するつもりだ。同紙は、ウクライナ語、ロシア語、英語、アラビア語(編集注:キヴァン氏はシリア系ビジネスマン)の4言語で発行していく。私たちは、人員を集めている。年内にはプロジェクトが再開できることを期待している」と発言した。
他方、同日、オリハ・ルデンコ・キーウ・ポスト紙副編集長は、フェイスブック・アカウントにて、「キーウ・ポスト紙の刷新などない。独立した新聞であるキーウ・ポストは殺されたのだ」と書き込んだ。
ルデンコ氏はじめ、同紙のスタッフたちは、フェイスブック・アカウントに、キーウ・ポスト・スタッフ声明を掲載している。
声明には、「独立した新聞としてのキーウ・ポストは、今日限りで消滅した。11月8日朝、キーウ・ポストの職員たちが職場に着くと、自分達が解雇されたことを知ることになった」と書かれている。
さらに、スタッフたちは、3週間前にキヴァン氏からキーウ・ポストの事業拡大とウクライナ語版開始の計画があると述べていたことを伝え、「そのニュースと、オーナーと繋がりのある人物のトップ就任は、編集部にとって予想外のことだった」と説明、それをキヴァン氏による編集方針への介入として受け止めたと伝えた。スタッフたちがキーウ・ポストの独立を維持しようとすると、キヴァン氏から反対されたと説明されている。
スタッフ側は、キヴァン氏に対して、同紙を売却するか、キーウ・ポスト・ブランドを編集部に明け渡すかするよう提案したが、キヴァン氏は同意しなかったと伝えている。
スタッフたちは、キーウ・ポスト紙の読者に対して、サポートを呼びかけている。
なお、キーウ・ポスト紙は、ウクライナにて最も古い英字週刊紙として知られる。1995年10月18日に米国人のジェッド・サンデン氏がキーウ(キエフ)にて創設。2002年には、インターネット版も開設され、ウクライナの政治、ビジネス、文化をウクライナ国内外に発信してきた。