ノルド・ストリーム2は少なくともあと半年は稼働しない=独大使
フェルドゥーセン独大使がインターファクス・ウクライナ通信へのインタビュー時に発言した。
フェルドゥーセン大使は、ウクライナから欧州連合(EU)に対して、追加的に550億立方メートルの天然ガスと特別な条件で輸送するとの提案につき「良い提案」だと指摘した。大使は、「注意深く見てみると、それはガスの追加的な(輸送)量だけの話なのだ。私たちが思うよりそれは容易ではない。なぜなら、ガスは、ロシアにあって、ウクライナにあるわけではないからだ。ガスの引き渡し地点は、あなた方の東部の国境である。(中略)提案は興味深い。なぜなら、『ノルド・ストリーム2』は、確実にあと半年は稼働しないからだ。もしロシアがより多くのガスを採掘し、それをもっと供給したいと思い、彼らに商業的利益があり、彼らが物理的にそれを実現できるのであれば、それは良い提案であるし、それが実現されることは想像可能である」と発言した。
大使はまた、ドイツのエネルギー規制機関「連邦ネットワーク庁」(BNetzA)は、ノルド・ストリーム2の認証を停止したのは、まず当該企業の分割(アンバンドリング)が不可欠だからだと説明した。
なお、11月16日、ドイツの連邦ネットワーク庁(BNetzA)は、独露間新天然ガスパイプライン「ノルド・ストリーム2」の利用開始に必要な認証プロセスを一時的に停止したと発表していた。「ノルド・ストリーム2」は、今年9月に完工しているが、同パイプラインの利用開始にはBNetzAによる同パイプライン認証が必要となっている。
同天然ガスパイプラインは、ウクライナを迂回する形で、ロシアからドイツへとバルト海を通じて建設されたもの。露国営ガスプロム社などが出資者。
なお、7月21日、米国とドイツは、「ノルド・ストリーム2」に関する合意を発表していた。同合意によれば、ロシアが同パイプラインをウクライナに対して武器として利用した場合には、ドイツが一国で対応する他、欧州連合(EU)に対して制裁を含めた効果的方策を採るよう要請することになる。しかし、同合意は、米国が同ガスパイプラインの完工を容認するものであるとして、米国内外にて批判が出ていた。
とりわけ、同合意につき、ウクライナとポーランドは、独露間ガスパイプライン「ノルド・ストリーム2」はウクライナや中欧全体に対する政治、軍事、エネルギー面の脅威を生み出すものであり、米独合意はそれを止める試みを拒否するものだとして批判している。
なお、11月15日、BNetzAは、ウクライナのナフトガス社とガス輸送システム・オペレーター社が独露間新天然ガスパイプライン「ノルド・ストリーム2」の認証プロセスへの参加を発表している。ただし、両者は、認証への拒否権は有さない。
同時に、米議会は、下院が9月に、独露間新天然ガスパイプライン「ノルド・ストリーム2」の利用開始阻止に向けた制裁発動を含む米国防予算への修正案を採択している。ウクライナのゼレンシキー大統領は、米議会上院に対して、同修正を支持するよう要請している。