EU、ウクライナ農産物の隣国への輸入制限を延長せず 3か国は独自に禁輸導入へ
欧州委員会広報室が公表した。
欧州委員会は、4つのカテゴリーの農産物のEU市場への輸出のインパクトに関するデータを分析したとし、その上で、調整プラットフォームの活動と5月2日に導入された暫定措置のおかげで、ウクライナと接するEU加盟国5か国の市場の歪みは解消されたと結論付けたと伝えた。
調整プラットフォームの全ての関係者の建設的姿勢が、具体的問題の解決に役立ち、EU域外の第三国への輸出が増加すらしていると書かれている。
その上で、暫定措置(ウクライナの農産物4品目の輸入制限)の失効が合意されたと発表された。さらに、その他の合意事項として、以下のことにも合意したという。
・ウクライナは、穀物の殺到を避けるために、30日以内に輸出許可制度などを含む、あらゆる法的措置を導入する。
・それまで、ウクライナは、隣国における市場の歪みを防ぐために、9月16日から4品目の輸出をコントロールするための効果的方策を導入する。ウクライナは9月18日までに行動計画を提出する。
・欧州委員会とウクライナは、予期せぬ状況に対応できるようにするために、前述プラットフォームを通じて状況をモニターしていく。
また、ゼレンシキー宇大統領は同日、フォンデアライエン欧州委員会委員長と協議を行い、今回の禁輸措置解除につき謝意を表明した。ゼレンシキー氏がテレグラム・チャンネルで伝えた。
ゼレンシキー氏は、「欧州委員会側からのウクライナの農産物のEU市場へのアクセス制限は、解除された! 私は、フォンデアライエン氏に対して、約束と自由市場のルールを守ったことにつき心から感謝している。これは、ウクライナとEUの間の真の団結と信頼の事例だ。欧州は、ルールが機能し、合意が履行される時に常に勝利するのだ」と書き込んだ。
同氏はまた、現在欧州の団結が二国間レベルでも機能することが重要だとし、「それは、戦時下に隣人がウクライナを支えるために(重要)だ。もし彼らの決定がEU法に反するなら、ウクライナは文明的に対応する」とコメントした。
他方、報道によれば、今回の欧州委員会の決定を受けて、ポーランド、ハンガリー、スロバキアの3か国は、ウクライナの穀物の輸入への禁止措置を独自に継続すると発表した。
ハンガリーのナジ農業相は、フェイスブック・アカウントに、「ハンガリーは、ウクライナの24品目に対して国境を閉じるつもりだ」と書き込んだ。
同大臣は、その方策はハンガリーの農家の利益を守るためのものだとし、「穀物、ナタネ、ヒマワリ、小麦、油、ハチミツ、特定の肉と卵」を含むと伝えた。
また、PAPの報道によれば、モラヴィエツキ・ポーランド首相は、ポーランドはウクライナの穀物に対して禁輸を16日から導入すると発表した。
さらに、デンニクNの報道によれば、スロバキア政府は、同国は年末までウクライナの小麦、トウモロコシ、ナタネ、ヒマワリの種子の禁輸を行うと発表した。
これに先立ち、2023年5月、欧州委員会は、ブルガリア、ハンガリー、ポーランド、スロバキア、ルーマニアの5か国の要請を受けて、ウクライナから5か国への小麦、トウモロコシ、ナタネ、ヒマワリの輸出を禁止していた。6月5日、同禁輸措置は2023年9月15日まで延長されていた。
また7月19日、5か国の農業相は、ワルシャワにて、欧州委員会によるウクライナの穀物への禁輸措置を2023年年末まで延長することを主張する共同声明を採択していた。なお、穀物のこれらの国の通過は維持される。
ハンガリーもまた、EUに対して、9月15日以降の5か国へのウクライナの穀物輸出の禁止を継続するよう要請していく意向を示している。同国はまた、EUが禁輸を延長しない場合、独自の禁輸措置を再び導入する準備があるとも表明している。
他方、ウクライナ政権は、欧州委員会がウクライナ穀物禁輸措置を9月15日以降延長した場合、ウクライナは同様の措置の導入を検討する可能性があると主張している。