ウクライナ、中欧3国に対するWTO提訴を停止
カチュカ次官が国際フォーラムが開かれているブリュッセルでの記者会見時に発言した。ウクルインフォルムの特派員が伝えた。
カチュカ氏は、「私たちには、唯一の機微な問題として、隣国市場が売却に向けていつ開かれるか、という問題が残っている。しかし、統計を見れば、私たちはそれらの国に多くの穀物製品を売却しておらず、本件は最小限の問題である。その問題は、ウクライナとEUの間の貿易体制の機能に関するものだ。私たちは、その問題は今後数週間、数か月で取り除かれると見ている。ライセンス体制がどのように変化するか、何らかの追加方策が取られることにつき、今後多くのニュースが出るだろう。非常に活発な作業が行われている。当然、私たちがそのような実質的解決策を模索している間、私たちのWTOでの係争は現時点で停止している」と発言した。
同時に同氏は、政治的観点から、ポーランド政府によるWTO提訴を取り下げるようにとの要求は理解しているとしつつ、しかし提訴は現在協議段階にあるため、貿易係争には至っていないと指摘した。同氏はその点につき、「司法的な観点から言えば、私たちは現時点で係争を抱えていない。なぜなら、係争解決の機構や、仲裁を申請したのではないからだ。私たちは、協議の段階にあるのであり、そのために60日間が与えられている。私たちは何よりまず解決策の模索に集中していく。私たちは、非常に建設的な協議を行なっている。私たちには、全欧州的な建設的な解決策が非常に重要だ」と発言した。
同氏はまた、本件はポーランドなどの個別の国に向けられた異議申し立てではあるものの、それはEUとの間の関係に関する体系的な問題だと指摘し、「よって、私たちの目的は、単にその提訴を取り下げることではなく、ウクライナとEUが貿易組織に対して同じアプローチを有していることを強調することにある。私たちは、ポーランド政府の要求を否定していないし、その全ての問題のための解決策を包括的方法で、私たちのとポーランド、私たちとEU、そしてポーランドとEUの間の団結を示す手段で、模索している」と発言した。
同時に同氏は、ウクライナと近隣諸国の間に「穀物禁輸」のようなものは存在せず、代わりに、今年の4月から、穀物輸送は著しく改善したとし、とりわけ、ポーランド政府はウクライナの製品の輸送条件を改善するために多大な努力を払ったと伝えた。さらに同氏は、米国の支援を受けて、ウクライナ、モルドバ、ルーマニア間の輸送路改善作業が建設的に行われているとも発言した。
また同氏は、隣国5か国を通過する商品の関税手続きが非常によく解決されているとも報告した。
そして同氏は、「私たちは、いずれの国もその通行を禁止はしていないし、禁止について考えていない。そのため、それは大きな共通の成果である」と発言した。
同氏は、前述の問題の解決にとっての体系的な障害は一切見ていないとし、ポーランドとの間で建設的な対話を続けることを期待していると発言した。
これに先立ち、欧州連合(EU)は9月15日、ウクライナの農産物4品目を近隣EU加盟国5か国に輸入できなくする暫定措置を延長しないことを決定していた。
しかし、欧州委員会の同決定を受けて、ポーランド、ハンガリー、スロバキアの3か国は、ウクライナの穀物の輸入への禁止措置を独自に継続すると発表していた。
2023年5月、欧州委員会は、ブルガリア、ハンガリー、ポーランド、スロバキア、ルーマニアの5か国の要請を受けて、ウクライナから5か国への小麦、トウモロコシ、ナタネ、ヒマワリの輸出を禁止していた。6月5日、同禁輸措置は2023年9月15日まで延長されていた。
ウクライナ政府は、ポーランドとハンガリーとスロバキアがウクライナの農産物への禁輸を9月16日以降も独自に継続したことを受け、WTOに提訴すると発表していた。