ロシアはウクライナにミンスク諸合意を「露の解釈」で履行させようとするだろう=ドネツィク州出身記者

ロシアはウクライナにミンスク諸合意を「露の解釈」で履行させようとするだろう=ドネツィク州出身記者

ウクルインフォルム
「三者コンタクト・グループ(TCG)」にてウクライナ代表団に加わるセルヒー・ハルマシュ氏は、ロシアは今後、独仏宇露4国のノルマンディ・フォーマットの他の参加国を通じてか、あるいは、軍事的エスカレーションを通じて、ウクライナに対して、ミンスク諸合意をロシアに都合の良い解釈で履行させることを試みるだろうとの見方を示した。

東部ドネツィク州出身の記者でもあるハルマシュ氏がニュースサイト「ツェンゾール」へのインタビュー時に発言した

ハルマシュ氏は、「モスクワは、私たちがCADLR(編集注:ドネツィク・ルハンシク両州一部地域の略称。ここではロシア武装集団を意味する)がTCGで提示している文書の検討を始めることを望んでいる。私たちがもしそれを検討すれば、私たちは、実質的に、彼ら(武装集団)を紛争の当事者、協議主体と認めることになる。重要なことは、それこそがクレムリンが過去数年間ずっと追求してきているという点だ。私たちの西側のパートナーたちが、その『譲歩』がどのような結果をもたらすかを認識しているのかどうか、私はわからない」と発言した。

ハルマシュ氏はまた、前回(1月26日)のノルマンディ・フォーマット4国の首脳補佐官級会合にて、「(ウクライナに対して)圧力がかけられた」とみなせるだけの根拠があると発言した。同氏は、「そのため、私は、その脅威の可能性は非常に大きいと思っている。もしCADLRがTCGで提出した文書を私たちが検討し始めたら、私たちは彼らを紛争の当事者、協議の主体と認めることになり、その時にはもう退路がなくなる。外交には、確立された外交的慣習として、そういう概念があるのだ。つまり、私たちが一度そのような行動を取れば、私たちはその道を今後も進まざるを得なくなるというわけだ。モスクワは、それを大変よく理解しているから、そのように行動しているのだ」と発言した。

さらに同氏は、ロシアと占領地メディアがロシア国民やCADLR住民に向けて、ウクライナがドンバスを攻撃すると主張する大規模な心理的攻撃を行っていることにも注意を向けた。同氏は、それはロシアが、自らの挑発計画を隠し、その挑発でウクライナを非難し、それによって軍事的エスカレーションに踏み切ろうとしている可能性があるとの見方を示した。

加えて同氏は、「それは、ノルマンディ・フォーマットとも関係がある。なぜなら、同フォーマットで、ドイツとフランスの手を借りて、ウクライナに『ミンスク3』(編集注:新しいミンスク合意)を採択させることに失敗したら、ロシアは今度は、軍事的手段を通じて、私たちにそれを採択させるべく、エスカレーションを始めるだろう。『ミンスク1』(の採択)がイロヴァイシク戦の後で、『ミンスク2』がデバリツェヴェ戦の後だったのと同様に」と説明した。

同氏は、その場合、それは単に「ロシアの解釈でのミンスク諸合意履行」へとウクライナを強制するだけでは済まず、ウクライナ国内における大きな不安定化要因となるだろうと指摘した。とりわけ同氏は、最近報道機関がCADLR代表者が欧州安全保障協力機構(OSCE)に対して、1月26日のパリにおけるノルマンディ4国首脳補佐官級会合の際に、ウクライナがあたかも武装集団の文書を検討する義務を負ったのだと主張する書簡を送ったと報じたことを喚起した。武装集団は、同書簡に対する書面での回答を求めているという。

ハルマシュ氏は、「OSCEにそのような書簡が確かに届いたことは確認が取れた。しかし、その(武装集団の)発言が本当かどうかは彼らは知らない。もしかしたら、デイネゴとニコノロヴァ(編集注:武装集団の首長)が単に嘘をつき、ウクライナ国内情勢をかき回しているだけかもしれない。しかし、それが真実なら、それは深刻な結果をもたらす。2月8、9日のTCG会合がどうなるか見てみようではないか」と発言した。

さらに同氏は、ロシア政権自体は何の文書も提出していないとしつつ、他方で、実際にはロシアこそがTCGのメンバーであり、武装集団はTCGでは何のステータスも有していないことを指摘した。

同氏は、「彼ら(武装集団)は、なぜかウクライナやロシアやOSCEに提案してくる、よくわからな者たちなのだ。もしロシアが、私たちがそれ(提案)を検討することを望んでいるなら、同国はTCGとして、それを公式に提示すれば十分なのだ。そうすれば、私たちは、文書がモスクワで書かれたものだろうが、ドネツィク・ルハンシクで書かれたものだろうが関係なく、それを分析するだろう。私たちが逃げることはない。その場合は、それはロシア連邦の立場を示すものであり、CADLRの立場ではない。だからこそ、モスクワは自分の名義では何も送らないのだ。それが意味するのは、ロシアと傀儡たちは、実際には紛争の解決を求めているのではなく、私たちがCADLRの主体性を認めることを望んでいるだけ、ということだ」と強調した。

これに先立ち、ウクライナのニュースサイト「週の鏡」が、1月26日のパリにおけるノルマンディ・フォーマット首脳補佐官級会合の際に、イェルマーク・ウクライナ大統領府長官が、武装集団代表者からのウクライナ東部情勢解決提案を検討する義務を負った可能性を報道していた

これに対して、ポドリャク・ウクライナ大統領府長官補佐官は、ウクライナ政権内では、ウクライナ東部情勢解決協議は、ドネツィク・ルハンシク両州一部地域の傀儡集団とではなく、ロシアとのみ行うべきだとする立場が維持されていると発言していた。

ウクライナのクレーバ外相は、ロシアとの協議において、ウクライナの領土一体性問題の譲歩とドネツィク・ルハンシクの武装集団との直接対話は、ウクライナにとって決して受け入れられない「レッドライン」だと説明した。


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