ロシア裁判所、クリミア・タタール系住民2名に有罪判決
ウクルインフォルム
クリミアにて拘束されたクリミア・タタール系住民2名が、ロシア南部ロストフ・ナ・ドヌーの南部軍管区裁判所にて、イスラム解放党に参加したとして11年の実刑判決が言い渡された。
11日、市民記者ネットワーク「クリミアの連帯」が報告した。
報告によれば、判決内容は、64歳のゼキルヤ・ムラトフ氏には禁錮11年6ヶ月の厳格収容所収容、イスラム教指導者ヴァディム・ベクテミロフ氏には11年の厳格収容所収容(最初の3年は禁錮)だという。
弁護側は、ムラトフ氏からは、ロシア政権崩壊を試みる呼びかけや、テロ組織のイデオロギーを拡散するような活動に関するものは何も発見されなかったとし、また武器、麻薬、爆発物、弾薬、その他ロシア国内法で所有が禁じられている物は何も見つかっていないと主張した。
弁護士のエミリ・クルベジノフ氏は、原告側の提示した証拠は全て「思いつきと事実の捏造」だと指摘した。特に「秘匿証言者」とされているが、実際はアドナン・マスリ氏であることがわかっている人物は、これまで複数の刑事捜査にて、様々な偽名で証言をしている人物であることがわかっていると説明した。
また同日、ウクライナ外務省は、本件につき、政治的動機と捏造した断罪によるウクライナ国民の拘束であるとし、抗議のコメントを発出した。外務省は、「裁判前捜査における数々の手続き上の違反、裁判時の弁護側が裁判官に提示した被告人の犯罪行為への不関与を示す証拠の完全な無視は、ゼキルヤ・ムラトフ氏とヴァディム・ベクテミロフ氏の自由剥奪の決定が政治的動機で行われたものであることを示している」と強調した。
外務省は、今回の判決もまた、ロシアがクリミア・タタール人に対する体系的で政治的な迫害を続けていることを改めて確認するものだと指摘し、ロシアに対して、今回の判決を無効化し、速やかに両者を含め、同国が違法に拘束する全てのウクライナ国民を解放することを要求した。