クレーバ宇外相、ノルマンディ4国協議につき「ウクライナはレッドラインを越えなかった」
クレーバ外相がオンライン記者会見時に発言した。ウクルインフォルムの記者が伝えた。
クレーバ外相は、「マイルドに言っても、困難なやりとりだった。しかし、代表団団長を務めたアンドリー・イェルマーク氏(編集注:会合でウクライナを代表して協議にあたったイェルマーク大統領府長官)や、代表団のメンバーたちは、私たちの立場全てを完全に防衛し、ウクライナにとって重要な点全てで譲歩せず、いわゆるレッドラインは一切越えなかった」と発言した。
クレーバ氏は、昨日のベルリン会合での基本的な問題は「ウクライナと武装集団の直接対話」であったと指摘した。同氏は、「ロシアは、ウクライナがいわゆる『ドネツィク人民共和国(DPR)』『ルハンシク人民共和国(LPR)』との直接対話を行うことを主張している。もしウクライナが直接対話を行うことにしたら、それはロシアの『紛争当事者』の地位が、『紛争仲介者』に変わってしまうのだ。だからこそ、私たちは、直接対話を行わないのである。ただし、私たちは、協議を継続する準備はある」と発言した。
加えて同氏は、ウクライナ側の主な目的は、紛争解決・戦争集結問題にて前進するために、ロシア・ウクライナ・欧州安全保障協力機構(OSCE)からなるミンスク諸合意履行協議を行う「三者コンタクト・グループ」(TCG)の作業の障害を取り除くことであると指摘した。
また同氏は、「その対話は、極めて困難であるが、それは続けられねばならない。なぜなら、外交的な紛争解決以外の道は存在しないからだ」と強調した。
これに先立ち、10日、ベルリンにて、独仏宇露4国からなり、ロシア・ウクライナ武力紛争解決協議を行う「ノルマンディ・フォーマット」の首脳補佐官級会合が開催された。会合は9時間以上に及んだ。ウクライナを代表したイェルマーク大統領府長官は、会合参加者は停戦とミンスク諸合意への支持が表明されたが、成果文書は採択されなかったと述べた。また、次期会合開催時期は未定ながらも「すぐに」開催されると発言した。
一方、ロシアを代表したコザク大統領府副長官は、会合後記者会見にて、次期ノルマンディ・フォーマット首脳補佐官級会合の開催については、三者コンタクト・グループ(TCG)協議の後に「TCGでの協議結果を考慮して」決められると伝えた。
なお、今回のノルマンディ・フォーマット首脳補佐官級会合は、1月26日のパリ会合に続き、今年2回目のものとなる。独政府報道官は、独仏宇露4国からなり、ロシア・ウクライナ武力紛争解決協議を行う「ノルマンディ・フォーマット」の次期首脳補佐官級会合は、3月に開催されると発表している。
ウクライナ東部におけるロシア・ウクライナ武力紛争は2014年から続いている。ウクライナや、日本を含むG7はじめ、欧米諸国は、ロシアが同紛争の当事者であると説明しており、ロシアに対して、ミンスク諸合意の履行を要求している。他方、ロシア政権は、自国は紛争の当事者ではないと主張し、ミンスク諸合意に関しても履行の義務はないと主張している。