「三者協議が紛争終結の道」=ショルツ独首相
ショルツ独首相が訪問先のモスクワにてプーチン露大統領との会談後共同記者会見の際に発言した。ウクルインフォルムの特派員が伝えた。
ショルツ氏は、「私にとって、重要なことはTCGで協議が行われることだ。(中略)私たちは、それが可能となるように仕事をしている」と発言した。
同氏は、ミンスクプロセスにて、重要な基盤の設置が発表された、それは法的プロセスに関するものだと述べ、「それが、ドンバスとウクライナ政府とともに、ウクライナにて、状況の平和的解決のためのスタートポイントとなり得る提案を巡る協議が、TCGにて実施されることに繋がらねばならない」と発言した。
さらに同氏は、「皆がミンスク諸合意を遵守しなければならない」とし、それはウクライナ政府にも、ロシア政府にも、ドイツにもフランスにも関わることだと指摘した。そして、それは政治的プロセスも含むものであるとし、だからこそ、特別地位、(地方)選挙実施、シュタインマイヤー・フォーミュラ履行、憲法基盤に関する三大問題解決の可能性に関する協議実施のために不可欠な法案全ての提示が非常に重要なのだと強調した。同氏は、それら全てが、TCGにて、ウクライナとロシアとOSCEと「その他の関与する者たち」との間で協議されねばならないと発言した。
同氏は、それは合意されたことであり、皆が支持せねばならないことであり、誰も妨害してはならないことだと強調した。加えて同氏は、今のところ前提条件は作り出されたのであり、皆が努力することで「全てうまくいく可能性がある」と指摘した。
ショルツ氏は、ゼレンシキー大統領が前日、TCGが近々全ての3つの法案を審議すると約束したことは良いステップだとし、重要なのはそれら全てを実現することだと補足した。
他方で同氏は、同日ロシア国家院が採択した自称「ドネツィク人民共和国(DPR)」「ルハンシク人民共和国(LPR)」の国家承認をプーチン露大統領に呼びかける決議につき、「その決議が現実のものとなれば、(中略)それは(ミンスク)プロセスへの違反となり、その終わりを意味することになろう。それは政治的惨事となろう」と警告した。
同時に同氏は、双方は、ノルマンディ・フォーマット(独仏宇露4国)が紛争解決のために重要なフォーマットであることに同意するとし、「現時点で、そこには必要な動きとステップがある」と発言した。
これに先立ち、14日、ショルツ独首相は、キーウにて、ゼレンシキー大統領がドネツィク・ルハンシク両州一部地域(CADLR)の特別地位法案と同地の地方選挙法案を協議のために提出することを約束したと発言していた。その際同氏は、同氏は、「ゼレンシキー大統領と私は、ノルマンディ・フォーマットと米露欧州安全保障協力機構(OSCE)協議は、ロシアとの対話にとって重要なフォーマットだとの意見で一致している。(ゼレンシキー)大統領は、私に対して、ウクライナは協議のために、(CADLR)特別地位法案と(CADLR)地方選挙法案を協議のために出すと明言した」と報告していた。
なお、最高会議(国会)は2021年12月15日、「ドネツィク・ルハンシク両州一部地域の地方自治の特別規定法」(通称ドンバス特別地位法)第1条の効力を2021年12月31日にまで延長していた。
現行の「ドネツィク・ルハンシク両州一部地域の地方自治の特別地位法」は、2014年9月に採択され、同年10月18日に3年間の時限法として発効したものであり、同法の効力は、最高会議がこれまで繰り返し延長している。
なお、2014年9月5日付「ミンスク議定書」第9条は、「ウクライナ法『ドネツィク・ルハンシク両州一部地域(編集注:CADLR)の地方自治の暫定手続』(特別地位法)に従った繰り上げ地方選挙の実施の確保」を定めている。
また、2015年2月12日付「ミンスク両合意履行のための方策パッケージ」第11条には、「(ドネツィク・ルハンシク両州一部地域の代表者とともに調整された、これら地域の特殊性を考慮した上で)重要な要素としての非中央集権化を定める新憲法を2015年末までに発効させるとともに、ウクライナにおける憲法開会区を実施する他、注釈に記された方策に従い、2015年末までに、CADLRの特別な地位についての恒常法を採択する」と書かれている。
また同第12条には、「ウクライナ法『CADLRの地方自治の暫定手続』に基づき、地方選挙に関する諸問題は、三者コンタクト・グループ(TCG)の枠内で、ドネツィク・ルハンシク両州一部地域代表者との間で協議され、合意される。選挙は、欧州安全保障協力機構(OSCE)民主的機構・人権事務所(ODIHR)による監視の下で、OSCEの然るべき基準を遵守して実施される」と書かれている。