G7外相、ロシア・ウクライナ情勢につき共同声明発出

G7外相、ロシア・ウクライナ情勢につき共同声明発出

ウクルインフォルム
19日、G7外相はドイツにて会合を開き、現在のロシア・ウクライナ情勢について協議した上で、G7外相声明を発出した。

日本外務省ウェブサイトに「ロシア及びウクライナに関するG7外相声明」の仮訳が掲載された

声明にて、G7外相とEU上級代表は、ウクライナ周辺、違法併合下のクリミア、ベラルーシにおけるロシアの威嚇的軍事増強への重大な懸念を表明した。外相たちは、現在のロシア軍集結は「欧州大陸における冷戦終結以来最大の配備であり、世界の安全保障及び国際秩序への挑戦」だと強調した。

また、外相たちは、ロシアに対して、外交の道を選び、軍隊をウクライナ国境周辺から撤退させ、緊張を緩和することを求めつつ、同時に、現在は軍事活動の低減の証拠は何も見られないとも指摘した。外相たちは、「我々は、ロシアの行動によってロシアを評価する」と伝えた。

さらに外相たちは、「国家の主権及び領土の一体性に対する武力による威嚇又は武力の行使は、ルールに基づく国際秩序を支える根本的原則に反するもの」「ヘルシンキ宣言、パリ憲章及びそれらに続く他のOSCEの諸宣言に記された欧州の平和と安全保障を支える原則にも反するもの」だと指摘した。その上で、ロシアがウクライナに対して更なる侵略に踏み切った場合、「ロシア経済に厳しく前例のないコストを課すこととなる幅広い部門・個人を対象とした経済・金融制裁を含め甚大な結果を招く」とし、G7で連携して、強力な制限措置(制裁)を発動することを明らかにした。

その他外相たちは、ウクライナの改革への支持と、同国の主権と領土一体性への揺るがないコミットメントを改めて表明した。

同時に、ウクライナ東部の紛争の解決については、「政治的解決への唯一の道であるミンスク合意の完全な履行を確保するための、ノルマンディー・プロセスを通じたドイツ及びフランスの取組に対する強い感謝と継続的な支持を強調」した。また、ウクライナのミンスク諸合意へのコミットメントと履行プロセスへの建設的な貢献への意欲を示すゼレンシキー大統領の発言に触れつつ、「ウクライナ側の呼びかけは、ロシアの交渉官及びロシア連邦政府の真剣な検討に値するもの」だとし、ロシアに対して、ウクライナが提案している外交的道筋のための機会を掴むよう要求した。

G7外相たちは、ロシアは緊張を緩和し、ミンスク諸合意を履行するという自らの約束を果たさなければならないと強調した。その上で、最近ウクライナ東部の政府管理地域と被占領地の間の「コンタクト・ライン沿いにおける停戦違反の増加」への懸念を表明し、銃火器使用や一般市民が暮らす地域への無差別砲撃を明白なミンスク諸合意違反だとして、非難した。

さらG7外相たちは、ロシアが2019年以降、ウクライナ東部ドンバス地方非政府管理地域にて住民に対してロシア国籍証明書(旅券)を配布し続けていることを非難した。外相たちは、そのような国籍付与は「ミンスク合意の精神に明らかに反する」と強調した。

また、外相たちは、「人民共和国」を自称する武装集団が、軍事エスカレーションの土台づくりを行っているとしかみなせない行為に憂慮を示し、それらが「偽装事案が軍事的エスカレーションの口実として利用され得ることを懸念する」と表明した。

同声明の英語全文はこちら

また、G7外相たちは、同日の会合時にウクライナのクレーバ外相とも面会している。外務省発表によれば、クレーバ氏は、現在の情勢についてのウクライナの認識と立場について説明したとのこと。

クレーバ外相自身は、ツイッター・アカウントにて、G7外相と面会し、ウクライナを守るための実践的ステップを複数提案したと書き込んだ。クレーバ氏は、「団結した肯定的返事に感謝している」と伝えた上で、「G7は、ウクライナの後ろに堅固に立っている」と書き込んだ

なお、G7は、2月14日に、各国財務相によるウクライナに関する共同声明を発出し、ロシアがウクライナにさらなる軍事的侵攻を行った場合には、甚大な結果をもたらす経済・金融制裁を科す用意があると表明していた


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