岸田日本首相、ウクライナ情勢につき新たな対露制裁を発表
首相官邸ウェブサイトに岸田首相の発言全文が掲載された。
岸田首相は、ロシアによる武装集団支配地域の自称「共和国」との条約批准と国外での軍隊仕様に関する露連邦院の決定などに触れ、「これらは明らかにウクライナの主権、そして領土の一体性を侵害し、国際法に違反する行為であり、改めて強く非難いたします」と発言し、外交による事態打開に向けた努力に立ち戻ることを求めた。
その上で岸田氏は、「この問題に国際社会と連携して対処する観点から」制裁を採択することを決めたと発表した。
今回日本政府が決定した制裁は3点。1つ目はいわゆる2つの共和国の関係者の査証発給停止及び資産凍結、2つ目はいわゆる2つの共和国との輸出入の禁止措置の導入、3つ目はロシア政府による新たなソブリン債の我が国における発行・流通の禁止となっている。
さらに岸田氏は、今後、事態が悪化する場合には、G7を始めとする国際社会と連携して、更なる措置を速やかに進めるよう取り組んでいくと伝えた。
なお、前日にバイデン米大統領が、現在のロシアの行動を「侵攻の始まり」と形容したことにつき、記者が、ロシアのウクライナに対する侵攻が始まっているという認識かと尋ねると、岸田氏は、肯定せず、「今、ロシアに対する一連の措置、これはウクライナの主権及び領土の一体性を侵害し、国際法に違反するもの」との評価を示し、「決して認められるものではない、そして強く非難する」と繰り返した。
これに先立ち、21日、プーチン露大統領は、ウクライナ東部の武装集団「DPR」「LPR」支配地域をの国家として承認し、22日にはロシア連邦上院(連邦院)が、プーチン露大統領が国外でロシア軍を利用することを認める決定を満場一致で採択していた。
これを受け、米英カナダ欧州連合(EU)がすでにロシアに対する新たな制裁の発動を発表している。また、ドイツは、独露間新天然ガスパイプライン「ノルド・ストリーム2」の認可プロセスを停止すると発表した。