ゼレンシキー大統領、ウクライナの早期のEU加盟を呼びかけ
ゼレンシキー大統領が欧州理事会と欧州の人々に対するオンライン演説の際に発言した。
ゼレンシキー氏は、EUが団結していること、対露制裁を科したを感謝しつつ、「それは強力な行動だ。しかし、それは少し遅かった。なぜなら、もし予防的に発動できていたら、ロシアは戦争を始めなかったかもしれない。誰も確実にはわからないものの、少なくとも、そのチャンスはあった」と指摘した。さらに、同氏は、独露間新天然ガスパイプライン「ノルド・ストリーム2」プロジェクトを停止したことにつき、「私たちはあなた方に感謝している。それは正しい。しかし、それもまた少し遅すぎた。もし適宜に行われていたら、ロシアは、ガス危機を生み出さなかったかもしれない。少なくとも、チャンスはあった」と発言した。
その上で同氏は、現在「ようやく私たちは、ウクライナのEU加盟について準備をしている」とし、「ここで私は、あなた方にお願いする。お願いだから、遅れないでくれ。なぜなら、この1か月、私たちはこの世界(編集注:ウクライナとロシア)を比べてきたのであり、あなた方は全てを見ている。誰に何をすべきかを。ウクライナが近い将来EUに加盟すべきことを。少なくとも、そのためにあなた方には全てある。私たちにはそのチャンスがある」と述べた。
ゼレンシキー氏は、EU加盟国のウクライナのEU加盟に関する立場を一国ずつ指摘した(編集注:カギ括弧内はゼレンシキー氏のコメント)。
リトアニア:支持
ラトビア:支持
エストニア:支持
ポーランド:支持
フランス:「エマニュエル(マクロン大統領)、私は、あなたが私たちを支持してくれることを強く信じている」
スロベニア:支持
スロバキア:支持
チェコ:支持
ルーマニア:「尊厳とは何かを知っており、だから決定的な瞬間には支持するだろう」
ブルガリア:支持
ギリシャ:「支持だと信じている」
ドイツ:「ドイツについては、後で話す」
ポルトガル:ほぼ…(支持)
クロアチア:支持
スウェーデン:「青と黄(の旗の国)はいつでも一緒でなければならない」
フィンランド:「あなた方が私たちと一緒であることは知っている」
オランダ:「合理主義を支持している、つまり、共通言語を見つけられよう」
マルタ:「うまくいくと信じている」
デンマーク:「うまくいくと信じている」
ルクセンブルク:「私たちは、互いに理解し合っている」
キプロス:「私たちと一緒だということを強く信じている」
イタリア:「支持をありがとう!」
スペイン:「共通の言葉を見つける」
ベルギー:「論拠を見つける」
オーストリア:「ウクライナ人と一緒であることは、あなた方にとって可能性だ。私はそう確信している」
アイルランド:ほぼ(支持)
その上で、ゼレンシキー氏は、ハンガリーに対して、「私は、最初で最後に率直になりたい」と述べた上で、「あなた方は、誰を支持するのか、自分で決めるべきだ。あなた方は主権国家だ」とし、ハンガリー政権のロシアに対する宥和的な姿勢に対する懸念を暗に示した。続けて同氏は、「私は、ブダペストへ行ったことがある。あなた方の町が大好きだ。何度も行ったことがある。非常に美しい、心のこもった町だ。そして、(私たちと)同じような人々がいる。あなた方にも、人生に悲劇的な時期があった。私は、あなた方の町の川岸を訪れたことがある。その記念碑を見た。ドナウ川の靴だ(編集注:「ドナウ川遊歩道の靴」。ナチスに銃殺され、川に落とされたユダヤ人たちを偲ぶ記念碑)。大量殺人に関するものだ。私は、家族と訪れた。聞いて欲しい、ヴィクトルよ(編集注:オルバーン・ハンガリー首相)、マリウポリで何が起こっているか知っているか? 可能であれば、その川岸へ行ってみてくれ。その靴を見てくれ。そして、大量殺人が現代世界で繰り返される可能性があることを考えて欲しい。それを今行っているのはロシアだ。同じ靴だ。マリウポリで。そこにいるのは同じ人たちだ。大人と子供。おじいさんとおばあさん。そこには幾千の人がいる。その何千人がすでにいないのだ」と強調した。
そして、ゼレンシキー氏は、オルバーン・ハンガリー首相に対して、「それなのに、あなたは制裁を発動するかどうかを迷っているのか? 武器を渡すかどうかを? ロシアと貿易するかどうかを? 迷う時間はない。もう決める時なのだ。私たちは、あなたを信じている。私には、あなたの支持が必要だ。私たちは、あなたの民を信じてる」と伝えた。
さらに、同氏は、「私たちは、EUを信じている。私たちは、決定的な瞬間には、ドイツも私たちと一緒であると信じている」と強調した。
写真:大統領府