ウクルインフォルムの日本語編集者、露宇戦争に関する本の出版をキーウで報告
平野氏がウクルインフォルムで書籍のプレゼンテーションを行った。同イベントには、中込正志駐日ウクライナ大使とチェレヴァティー・ウクルインフォルム総裁も出席した。
平野氏は、ロシアの全面侵略戦争が始まってから、多くの外国の記者や専門家がこの戦争について、戦闘、政治決定、国際秩序への影響、犠牲者、支援などに焦点を当てて、記事や書籍を書いてきたと説明した。
そして同氏は、「キーウに暮らしている私が、日本の人たちに向けて、ロシア・ウクライナ戦争について何を伝えることができるかしばらく考えた。そして、全面侵攻下のウクライナにおける日常生活がどのようなものかを書くことに決めた。それは、この戦争の最も主要な部分ではないかもしれないが、しかし、私は、それもまた戦争の非常に大切な部分で、説明がなければウクライナの外の人が知ることのできないものだと思っている。日常はニュースの見出しにはならない。なぜなら、日常とは私たちがとても良く知っているもので、普通は考えることのないものだからだ。そこで私は、私たちが戦争のある日常をどのように生きているかに力点を置くこの本を書くことにした」と説明した。
また同氏は、出版社の編集者から、日本の読者が興味があるだろうと思われる質問のリストを受け取ったと述べた。
ウクルインフォルムの平野高志氏の書籍プレゼンテーション 写真:ユリヤ・オウシャンニコヴァ
同氏は、「私は、この本で、スーパーマーケットに何らかの食料品が不足していないかとか、戦時下に娯楽はあるのか、といったことについて詳しく書いた。それは私たちにとっては非常にシンプルで普通なことなのだが、外国人にとっては、このように残虐な戦争下でも生活が続いているというのは予想外のことだろう」と強調した。
本では、ウクライナ人が戦争の中をどのように暮らし、生き延びているか、とりわけ、経済状況、インフレ、空襲警報、シェルター、難民、動員、夜間外出禁止令、停電、ソーシャルメディア内の議論、募金、勝利と平和についての人々の見方、恐怖、希望、ジレンマなどについて説明されているという。
中込日本大使は、「日本は全面侵攻のはじめから、ウクライナと一緒にある。10月、日本では首相が代わり、石破茂氏が首相に就任した。しかし、ウクライナ支持継続の立場は変わっていない。日本は、ウクライナといわゆる安全保障協定に署名したが、それはウクライナの問題が欧州だけの問題だけでなく、世界中の問題であることを示している。このような本の出版は、日本人に対して、戦争が続いていることを思い出させ、ウクライナへのより大きな支持を促すものだろう」とコメントした。
チェレヴァティー・ウクルインフォルム総裁は、「これは、戦う人々を支援するものだ。平野氏は自著で、私たちが諦めていないこと、私たちが生きていること、私たちの経済が機能していること、人々が何らかの文化イベントを訪れたり、互いに支え合ったりする機会を見つけ出していることを記している。通信社は、前線の状況、日々の攻撃、苦しみを伝えている。しかし、その中で、私たちが諦めていないこと、前に進んでいることというのも、また戦争の重要な側面なのだ」と発言した。
『ロシア・ウクライナ戦争 戦争のある日常を生きる』は、平野氏がウクライナについて日本語で書いた2冊めの書籍となる。1冊目は、『ウクライナ・ファンブック』で2020年に日本で出版された。1冊目では、著者は、ウクライナの料理、言語の特徴、文化、伝統、宗教、ウクライナの様々な地域の歴史について解説していた。