ウクライナの将来に楽観的な国民は約半数
キーウ国際社会学研究所がウクライナで2024年12月2日から17日にかけて実施した世論調査の結果を発表した。
発表には、「ウクライナの将来を楽観的に見ている人の割合について、定まった減少傾向がある。2022年年末には、88%の人が、ウクライナが10年後には欧州連合(EU)内の繁栄した国になると思っていたが、2023年12月までにその割合は73%に減り、2024年12月には57%にまで減った。同時に、ウクライナの経済は(編集注:10年後には)破綻していると考えている人の割合が5%から28%に伸びた。楽観的な人の割合は過去1年で16%減ったが、皆が皆、悲観主義者になったわけではないという点を指摘することは大切だ(悲観的な回答者の数の増加は9%)。つまり、多くのウクライナ人が、高い不確実性について話すようになったということである」と書かれている。
同時に研究所は、この調査結果を分析する場合には、傾向だけでなく、現在の実際の数字にも注目するべきだと指摘し、「現在の苦しい一年であったし、それが終わろうとしている中で、ウクライナ人の大半(57%)が、概して国の将来に対して楽観的な見方に傾いていることが見られるのだ。悲観主義者の割合もまた大きいが(28%)、しかしそれでも、楽観主義者の割合よりはまだかなり低い」と説明した。
その他、調査結果によれば、ウクライナ人が対立を少しずつ克服して、団結した政治的ネイションに向かっていると考える人の割合が、過去1年で減少している。この回答は、2023年12月には69%だったが、2024年12月には53%となっている。反対に、対立は深まるばかりで、ウクライナ人は分断に向かっていると答えた人の割合は25%から33%になっている(回答困難もまた、6%から14%に増加)。
研究所は、「しかしながら、国の将来の(編集注:回答結果の)場合と同様、別途現状を分析すべきである。(多くの人々を心理的に痛めつけている)苦しく、深刻な挑戦の生じている中でありながら、私たちの間ではそれでも、約半数(53%)が団結に向かって進んでいると信じており、分断に進んでいると信じている人の割合は、懸念を覚えさせる大きさだが、しかし楽観主義の方が多いのだ。そして、現在の評価が(まだ全面侵攻の始まっていなかった)2020年の時と比べれば、社会の団結の評価がはるかに良好である点も重要だ」と解説した。
今回の世論調査「全ウクライナ世論調査『オムニブス』」は、キーウ国際社会学研究所が2024年12月2日から17日にかけてCATI方式で実施したもの。今回は、研究所の意向で、定期的に尋ねている設問に加えて、トランプ氏の勝利への受け止め方に関する設問が足された。ウクライナ政府がコントロールしているウクライナ全ての地域の住民985人に対して実施。対象は、18歳以上の成人のウクライナ国民で、質問の際に、ウクライナ国内の政府コントロール地域に居住している者。
理論的誤差は最大で±4.1%だと書かれている。また研究所は、戦争という条件下では上述の理論的誤差の他に、一定の体系的な偏差が加わるとしつつ、同時に、今回の調査はそれでも高い代表性が維持されており、世論の理想的な分析を可能にするものだとの見方を伝えている。