ゼレンシキー大統領、バイデン米大統領との会談内容を総括 東部情勢解決の新フォーマット提案
ゼレンシキー大統領が首脳会談後の記者会見時に発言した。ウクルインフォルムの特派員が伝えた。
ゼレンシキー大統領は、バイデン米大統領との会談の雰囲気につき、「会談は(予定されていた)1時間ではなく、2時間行われた。そのことが、双方がこの対話の結果に関心を持っていることを示している。私は、概して会談は適切で、生産的であったし、常に『太陽の照らすような雰囲気』だったというわけではないが、しかし当たり前の男同士の対話だったと思っている」と形容した。
記者から、どんな議題の際に『雲がかった』のかと尋ねると、大統領は、「雲が出てきたというわけではなく、単に太陽に気を取られる時間がない。行動し、前へ進まなければ」と返答した。
大統領は、バイデン米大統領からは、心地良い言葉と複雑な状況に対する理解のみが聞かれたとし、バイデン大統領がウクライナの改革における大きな進展を指摘したこと、とりわけ、農地改革と裁判改革の進展につき指摘があったと伝えた。さらに「ウクライナにおけるインフラ面の変化は、皆が見ている」と指摘した。
また大統領は、「米国から、ウクライナ、私個人、私のチーム、大統領府に対しての否定的な発言は全くなかった。ゼロだ。一切、一言すらもなかった」と強調した。
ゼレンシキー大統領は、バイデン米大統領とロシアによるウクライナ東部の一部とクリミア半島の占領に関係する安全保障問題を詳細に協議したと発言し、「ドンバスに関して、私は、大統領級の新しいフォーマットの適用を提案した。それは米国にとって新しい提案であり、彼らは、どのフォーマットを選ぶか考えていく」と説明した。大統領はまた、その提案したフォーマットは「ノルマンディ・フォーマット」とは異なる新しい協議フォーマットだと補足した。
独露間で建設が進むガスパイプライン「ノルド・ストリーム2」に関しては、ゼレンシキー大統領は、同パイプラインが利用され始め、ウクライナにとってエネルギー分野の危険な状況が生じた場合、米国はロシアに制裁を科し得ると発言した。
その上で大統領は、「ノルド・ストリーム2が使われ始めた場合、ロシア連邦、あるいはその他のノルド・ストリーム2の関係国、当事者が、ウクライナにとってのエネルギー面での問題による危険な状況を起こす何らかの行動をとるなら、米国がノルド・ストリームに制裁を科すことを保証している。今のところ、私たちが置かれているのは、そのことをバイデン大統領個人が保証している段階だ」と説明した。
同時にゼレンシキー大統領は、今のところ同問題は「複雑で脆い」ものであり、まだそれについて「話し込まないといけない」と指摘した。
同時に大統領は、同日のバイデン米大統領との会談の後、米議会の党員集会の代表者とも会談し、その際にもノルド・ストリーム2問題が協議されたが、米議員からはウクライナは「100%以上の」支持を確認したと伝えた。
ウクライナのNATO加盟問題に関するバイデン米大統領との協議については、ゼレンシキー大統領は、「私たちは、ウクライナの居場所と役割について、ウクライナがNATOでどんな役割を担うのかについて話した。私は、バイデン大統領から、彼個人がウクライナのNATO加盟を支持していることを感じたし、耳にした。しかし、どのような道筋なのかは、述べることは困難だ」と発言した。
大統領は、両首脳は黒海地域の安全保障問題についても協議したとしつつ、同時に合意の詳細については開示することはできないとして説明しなかった。
さらにゼレンシキー大統領は、オースティン米国防長官が秋にウクライナを「必ず訪問する」と述べ、その際に具体的な問題の作業を行う作業部会が設置されると伝えた。
なお、ゼレンシキー大統領は現在米国を訪問している。9月1日には、バイデン米大統領と約2時間の会談を行った。また両首脳は、会談実施に合わせて共同声明を発表している。
大統領の訪米は、9月5日まで続く予定。
動画:ウクライナ国営ロシア語テレビ局「家」