露占領当局、クリミア・タタール人の「自白」動画公開 民族指導者は「圧力の結果」と指摘
FSBが、拘束したクリミア・タタール系住民アサン・アフテモフ氏とアジズ・アフテモフ氏による自白動画だと主張するものを公開した。ロシア国営タス通信がテレグラム・チャンネルに同動画を掲載した。
一人目の自らをアサン・アフテモフだと名乗る人物は、ウクライナ南部ヘルソン氏滞在時に、サイードという見知らぬ人物と会い、その人物がクリミアのペレヴァリネ村のガス管を爆破するよう提案したと述べた。そして、セルヒーなる人物のアパートで、爆発物が渡され、使い方を教わったなどと発言した。その後、同人物は、爆発物をどのように運んだか、どこに保存したか、どのようにガス管を破壊したかなどにつき述べている。
二人目は、アジズ・アフテモフを名乗り、爆発物の詳細、造りや、自らの「工作」への関与について発言している。
この動画につき、クリミア・タタール民族代議機関「メジュリス」のレファト・チュバロフ代表は、ウクルインフォルムに対して、「物理的・心理的な圧力をかけられた結果だ」とコメントした。
チュバロフ氏は、「拘束された瞬間(編集注:4日朝)から、9月5日夜まで、親族も弁護士も、アジズ・アフテモフ氏とアサン・アフテモフ氏の所在を、その他の被拘束者の所在同様、知らずにいた。しかし、9月5日の夜には、その他の拘束者のところには、弁護士による接触ができ始めていたが、アジズとアサンのもとへは認められていなかった。FSBは、彼らが、両親が契約した弁護士を拒否したと主張していた。その時に私は、その2名の若者に対して、強い目的を持った何かが用意されており、彼らに対して物理的、心理的圧力がかけられる可能性があることを理解したのだ」と発言した。
同氏は、その後のアフテモフ両氏の振る舞いを見れば、両親にも弁護士にも、6日の裁判時の様子しかり、二人が衰弱し切った状態であることに疑いはなかったと指摘した。
チュバロフ氏は、FSBがこのアフテモフ両氏のいわゆる「自白」を、何と交換で「勝ち取った」のかはしばらく後で判明するだろうと述べた。同氏は、「すでに刑期を終えた者含め、その他の被拘束者と話した経験から、そのような場合には通常、被拘束者に対して拷問が行われたり、刑が最小限になるようにするなどという『約束』がされたりすることがわかっている」と指摘した。
これに先立ち、3、4日、被占領下ウクライナ領クリミアにて、ロシア占領機関当局が複数の先住民クリミア・タタール系住民の自宅で家宅捜索を行い、ナリマン・ジェリャル「メジュリス」副代表はじめ、計5名を拘束していた。その後、シンフェローポリ市では、この5名被拘束者の所在を把握しようと集まった住民数十名が占領機関治安当局に数時間にわたり拘束された(その後、2名を残し、残りは解放された)。
ロシア占領政権のシンフェローポリ氏キエフ地区裁判所は、ナリマン・ジェリャル・メジュリス第一副代表、アジズ・アフテモフ氏、アサン・アフテモフ氏に対して、11月4日までの2か月間の拘禁措置を言い渡している。
ゼレンシキー大統領は、同拘束につき、クリミア・プラットフォームの活動開始に対するロシアの反応であるとしつつ、被拘束者を速やかに解放するよう要求している。
本件につき、米国や欧州連合(EU)及び同加盟国は、ロシアを非難するメッセージを発出している。