独政府、米議会へのノルド・ストリーム2制裁発動回避要請に関する報道にコメント
ロイター通信が独外務省への問い合わせに対して回答を受け取ったと伝えた。
独外務省は、「私たちは、同盟国間の制裁を原則的に拒否している」とコメントし、そのような制裁は米国に対する信頼を弱め得るものであり、結果として「大西洋間の団結にダメージを与える」と指摘した。
なお、ドイツは、米国との間で、ロシアがウクライナに対してエネルギーを武器として利用した場合に方策をとることに合意しているが、その独米間の合意には、エネルギーを武器として利用することについての具体的な基準は含まれていない。
これに先立ち、アクシオスは、在米独大使館から米議会に対して送られた、11月19日付けの非公式文書を入手したと報道していた。同文書には、ロシアがウクライナに対してエネルギーを武器として使った場合の、ドイツからロシアに対する方策がどのようなものになり得るかが詳細に書かれている。
文書に書かれている「あり得る」方策の中には、「強い公式のメッセージ」によるロシアの行動の非難、将来の政治会談の中止の検討、将来のロシアの化石燃料プロジェクトへの「あり得る」制限が含まれている。ただし、その制限には、ノルド・ストリーム2は対象となっていない。
また、同文書には、その場合、ドイツはEUレベルで「追加的制限措置のための選択肢を定めるプロセスへ積極的に参加する」と書かれている。
このドイツの文書には、ノルド・ストリーム2につき「分別あるガス輸送が確保されている限りは、ウクライナにとって脅威のないもの」と主張されている。さらに、制裁がノルド・ストリーム2に対して発動された場合、それは西側同盟国を分断することになるため、「プーチンにとっての勝利」となると指摘されている。
これに先立ち、2021年7月、バイデン米政権は、ノルド・ストリーム2事業主に対する制裁を解除した上で、ドイツとともに関連合意を発表していた。同合意によれば、ロシアが同パイプラインをウクライナに対して武器として利用した場合には、ドイツが一国で対応する他、欧州連合(EU)に対して制裁を含めた効果的方策を採るよう要請することになる。
同時に、米議会は、下院が9月に、独露間新天然ガスパイプライン「ノルド・ストリーム2」の利用開始阻止に向けた制裁発動を含む米国防予算への修正案を採択している。ウクライナのゼレンシキー大統領は、米議会上院に対して、同修正を支持するよう要請している。