ゼレンシキー宇大統領、ロシアによるウクライナ児童連れ去りの「ジェノサイドの兆候」を認定する欧州評議会議員総会決議の採択を報告
ゼレンシキー大統領が同日夜の動画メッセージにて伝えた。
ゼレンシキー氏は、「今日、ストラスブールの、PACE会合にて、重要な政治的結果が生じた。ロシアによるウクライナ児童の追放にはジェノサイドの兆候があると認める決議が採択されたのだ。これは、このようなハイレベルの国際機関にてそのような事実が認定された最初の出来事であり、私たちの大陸の国々をまとめるものである。実質面で言えば、今回の決定は、私たちによるロシアとテロ国家首脳陣を含む同国幹部の責任、まさにジェノサイドへの責任、ウクライナに対するジェノサイド政策の責任の追及というグローバルな作業に著しく役に立つものである」と報告した。
同氏はまた、ウクライナ児童の連れ去りはウクライナ人の本質を破壊するという全くもって自覚的な意図を示す行為の1つであり、意図的なジェノサイド犯罪だと強調した。そして同氏は、ウクライナは全ての追放されたウクライナ児童を取り戻して、ロシアを罰するべく、各国首脳や、議会レベル、政府レベル、法執行機関レベル、司法コミュニティ、国際・議会間機関というあらゆるレベルで作業を継続すると伝えた。
同氏は加えて、ロシアが連れ去った児童数は現在把握できている数より多い可能性があるとし、「私たちが確実に把握しているデータでは、約2万人の児童が連れていかれ、悪の国の様々な地域に散り散りにされている。しかし、それが特に大規模な犯罪行為の一部に過ぎないことは明白だ。そのような子供たちはもっと多いかもしれない」と発言した。
同氏は、「ジェノサイドに対する判決は下される。その他全てのロシアのウクライナや私たちの人々に対する全ての犯罪と同様に」と強調した。
これに先立ち、欧州評議会議員総会(PACE)は27日、ロシア連邦領へとウクライナ児童の追放・強制移送はジェノサイドであると認める決議を採択した。ウクルインフォルムの特派員が伝えた。
PACEの春会期会合にて関連決議「ウクライナ児童やその他民間人のロシア連邦あるいは一時的被占領下ウクライナ領への追放及び強制移送:これらの人々の安全な帰還の条件創設、犯罪終了、責任者懲罰」が出席89名中87名の賛成、反対1名、棄権1名で採択された。
決議には、ロシアが児童を含む民間人をウクライナ領から強制的に移送したり追放したりしていること、その連れ去った人々に対してロシア国籍の取得をしばしば強制し、またロシアの家族への違法な養子縁組を組織していることが喚起されている。そして、そのような実践は国際人道法などで禁止されており、戦争犯罪・人道に対する罪として起訴されねばならず、特に児童の強制的移送の場合はジェノサイド犯罪となるため、徹底的に調査・起訴がされねばならないと書かれている。
さらにPACEは、強制的移送・追放が組織的かつ体系的な性格を持つことから、「その犯罪が偶然で非計画的なものではないとの結論を下すことが可能」だとし、「ウクライナとウクライナ・アイデンティティ、あらにウクライナ人の文化と言語の特性を破壊する」意図を示していると指摘した。
その上でPACEは、「ネイション、民族、人種、あるいは宗教グループを完全あるは部分的に殲滅させる意図を持って児童をあるグループから別のグループへと強制的に移動させることは、1948年のジェノサイド条約第2条(e)項目に従ったジェノサイド犯罪と見なされており、それはウクライナ児童のロシア連邦あるいは、一時的にロシアの占領下にある領域への追放及び強制的移送の記録された証拠と一致する」と説明している。
また、ジェノサイド犯罪の証拠となるものは、ローマ規定とジェノサイド条約が定めるように、丁寧に記録、収集、評価されねばならないとした上で、関連捜査・起訴、並びにウクライナが国際刑事裁判所(ICC)や国際司法裁判所(ICJ)で行う可能性のある行動への支持を表明した。
さらにPACEは、ICCに対して、ロシア連邦がウクライナ児童に対して行っている国家政策の観点でのジェノサイド犯罪の起訴の可能性を真剣に検討するよう要請した。また、加盟国に対しても、同様に各国国内裁判所にてあらゆる端材の起訴の可能性を検討することも呼びかけた。
なお、国際刑事裁判所(ICC)は3月17日、プーチン露大統領とリヴォヴァ=ベロヴァ児童問題露大統領全権には、少なくとも2022年2月24日以降、ウクライナの占領地から、子どもをはじめ、住民の不法追放と不法移送という戦争犯罪の容疑があるとし、両名の逮捕状を発出していた。