ゼレンシキー宇大統領、国連総会で演説 世界各国に「平和サミット」への参加を呼びかけ
ゼレンシキー大統領は英語で演説を行った。
ゼレンシキー大統領は、ウクライナは過去に世界第3の数を保有していた核兵器を放棄したことを喚起しつつ、「その時、世界は、ロシアがそのような力の保持者となるべきだと決めた。しかし、歴史が示したのは、核軍縮が最もふさわしいのはロシアだということだ。今こそふさわしい。テロリストたちに核兵器保有の権利はない」と発言した。
同時に同氏は、核兵器の他にも、大量破壊兵器が勢いを得ているとし、ロシアが食料、エネルギー、子供のような多くの他の物を「武器化」していると強調した。その際同氏は、ロシアはウクライナに対してだけでなく、全ての国に対してそれを用いているとし、「多くの条約が武器を規制しているが、武器化への真の規制はないのだ」と強調した。
同氏は、ロシアがウクライナの黒海とアゾフ海の海洋港を封鎖し、さらにドナウ川の河川港もミサイルや無人機で攻撃していると伝え、「ロシアは占領した領土の、全てではなければ、その一部の承認の引き換えに、世界の食料不足を武器にしようとしている。ロシアは、食料価格を武器としようとしているのだ」と発言した。
その際同氏は、ウクライナが臨時の海洋輸出回廊を開設し、さらに陸上の輸送回廊の維持の作業もしていると伝えた。同時に、一部の国が連帯を表明しながら、穀物問題ではウクライナを支持していないことにつき憂慮を表明し、「彼らは自分の役割を演じているつもりかもしれない。実際には、彼らはモスクワの役所のために舞台準備を手助けしているのだ」と指摘した。
さらに同氏は、ロシアがエネルギーを武器として使っていることも指摘し、現在その脅威はさらに大きくなり、「ロシアは各エネルギーを武器化している。ロシアが私たちのザポリッジャ原子力発電所に何をしたか見ると良い。砲撃し、占領し、今放射線漏れで他国を脅しているのだ」と喚起した。
加えて同氏は、ロシアがウクライナの子供を連れ去っていることを喚起し、「さらわれたウクライナの子供達はロシアでウクライナを憎むように教えられている。彼らの家族との全ての繋がりは断ち切られている。それはジェノサイドだ」と強調した。
その他同氏は、ロシアは10年ごとに戦争を始めているとし、モルドバとジョージアの領土は占領されたままだし、ロシアがシリアを廃墟に変え、ロシアがいなければ、シリアで化学兵器が使われることもなかっただろうと指摘した。また、ロシアはベラルーシを飲み込み、カザフスタンやバルト諸国も脅していると指摘した。
そして同氏は、「人類は人命を救うために完全に連帯して行動しなければならない。核兵器が抑制されているように、侵略者とその全ての戦争手段が抑制されなければならない。今や全ての戦争が最後のものとなる可能性があるが、侵略が再び起こらないようにするには、私たちの団結が必要なのだ」と強調した。
その上でゼレンシキー氏は、自身が昨年ウクライナの和平案「平和の公式」を提案したことを喚起しそれが現存の安全保障構造を刷新する基盤となったとし、これにより、国連憲章を復活させ、ルールに基づく世界秩序の完全な力を保証することができると主張した。同氏は、20日には「平和の公式」についての詳細のプレゼンテーションを行うと伝えた。
また同氏は、「平和の公式」はウクライナだけに関するものだけではないとし、140か国以上の国と国際機関が同公式を「全面的あるいは部分的に」支持していると指摘した。そして、同「公式」はロシアがウクライナやその他の国に対して使用してきたあらゆる形態の「武器化」を阻止する解決策と方策を提示するものであるとし、他の侵略者が用い得る武器化の阻止でもあると指摘した。
同氏は、すでに広島(編集注:G7首脳会議)、コペンハーゲン、ジェッダで「平和の公式」の実現に関する重要な協議が行われてきたとし、現在は「グローバル平和サミット」の準備を行っていると伝えた。その上で同氏は、「私は、あなた方全員を招待する。どのような侵略も許さないあなた方皆を、サミットの共同準備に招待する」と国連加盟国に呼びかけた。
その他同氏は、裏で怪しげな取引の試みがあることに気がついていると述べた上で、「悪は信頼し得ない。プーチンの約束に賭けられるかどうかは、プリゴジンに聞くが良い。私の話を聞いてくれ。団結してオープンに全てのことを決めよう」と呼びかけた。
そして同氏は、ウクライナはロシアの侵略の後に世界の誰も他国を攻撃することがないようにするために、あらゆる可能なことを行っていると強調し、「武器化は規制されねばならない。戦争犯罪は罰せられねばならない。追放された人々は帰国させてあげねばならない。占領者は自分の土地に戻らねばならない」と伝えた。