ゼレンシキー宇大統領、国内の活動を定めた「強靭性計画」を発表
ゼレンシキー大統領が最高会議での演説の際に発表した。ウクルインフォルムの記者が伝えた。
強靭性計画は、以下の10項目からなるという。
1.団結
2.前線
3.武器
4.資金
5.エネルギー
6.安全保障
7.社会
8.人的資源
9.文化主権
10.英雄政策
ゼレンシキー大統領は、「私たちは、ウクライナの主権、安全保障、未来で取引することはない。私たちは、自らの全ての領土へのウクライナの権利を断念しない。私たちは、欧州での選挙戦で私たちの国が利用されることを絶対に許さない。ウクライナを犠牲にして勝利することはできない」と発言した。
また同氏は、欧州にとってもウクライナにとっても北大西洋条約機構(NATO)は代替のないものだと発言した。同時に同氏は、「世界は新しい連携フォーマットを模索しており、ウクライナは自らのフォーマットとして、『平和の公式』を提案した。それは、100の国と国際機関を団結させた」と伝えた。
同氏は、「私たちとあなたたちの団結のおかげで、世界のかなりの部分が、平和は所与のものでも贈り物でもないことに気付いた。平和は努力を要するし、それは団結を基盤とした努力でなければならない」と発言した。
その上で同氏は、「強靭性計画」の第1項目は「団結」だと述べ、「それなしでは、あなた方と私たちのパートナーたちに示したウクライナの『勝利計画』の必要な結果が生じ得ないものだ。それぞれの戦争において、敗戦しないために、国民が行い得ることがあるし、同盟と団結してのみできることがある。だからこそ、その2つの文書(編集注:「強靭性計画」と「勝利計画」)が必要なのだ」と発言した。
また同氏は、国内のウクライナ人の団結は、パートナーたちを団結させるようなものであるべきだとも指摘した。その際同氏は、「世界は時として、個々の声には耳を貸さないことがあるが、自分たちの望みを知り、団結して活動し、目標を達成する方法を知っている国民全体の声を聞かないということはない。ウクライナは、私たちの団結と、特に欧州、米国、そしてアルゼンチンから日本にいたるまでの世界の他の部分における人々の心の団結の仕方の間に根本的な結びつきがあることを証明したのだ」と発言した。
同氏はさらに、憲法と法律により戒厳令下での選挙は実施されないとし、ウクライナはまず公正な平和が必要で、その後公正な選挙が実施されると発言した。
その際同氏は、「私たち皆が、ウクライナ憲法と法律が戒厳令下における選挙実施を認めていないのを知っているし、世界の誰も、ウクライナからそれを要求しなかったし、していない。しかし、ウクライナには、私たちの国のために戦う以上に、私たちの国の中で戦いたがるあまり、それを渇望してしまったのかもしれない人もいる。彼らは、撮影所かのように塹壕での政治的対立を望んでいる。それはウクライナにとって悲惨なことだ。ウクライナはまず公正な平和が必要であり、それからウクライナ人は公正な選挙の実施を行う。いかなる個人の願望よりも、共通の利益を上位に据えられるようでなければならない」と強調した。
ウクライナの北大西洋条約機構(NATO)加盟問題については、同氏は、パートナー国の政治的意志が足りないと指摘した。
同氏は、「私たちは、パートナー国と27の二国間安全保障協定を結んでおり、それはほぼ全てのNATO加盟国であり、彼らはウクライナのNATO加盟を支持している。その数は、私たちとNATOを隔てるものは基本的に何もなく、あるのは、力不足、政治的意志不足だけだということを示している。その際、(編集注:不足しているのは)ウクライナの政治意志ではなく、私たちは、パートナーたちに対して一緒に勇敢になるよう説得しているところだ」と発言した。
そして同氏は、NATO加盟は「私たち皆にとって極めて重要だ」と強調した。同氏は、「『勝利計画』は、私たちの国のNATOへの速やかな招待に関する項目から始まる。招待は、政治的な一歩であり、パートナーたちにとっての条件を根本的に変えるような一歩ではなく、パートナーたちにとってNATO第5条の速やかな発動も意味しない。ただし、正直なところ、私たちの人々はそれに値するのだが」と指摘した。
その際同氏は、ウクライナ人は1000日にわたり欧州の生活手段、欧州の人々1人1人の自由である権利、平和に生きる権利を守っているのだと発言した。
欧州連合(EU)との加盟交渉に関しては、同氏は、2025年初頭には最初のクラスターが開かれるだろうと指摘した。同氏はその際、「私たちは、EUとNATOとの近さについて、独立以来の最高水準を達成した。もうEUとの協議プロセスにとって必要な構造が築かれている。私たちは、より迅速に、ダイナミックに前進せねばならず、もうすぐウクライナ国内法のスクリーニングプロセスが完了する。2025年初頭には、最初のクラスターに関する交渉が開かれるよう準備をしている。その作業につき、チーム全体に感謝している。第2、その他のクラスターについても、遅滞なく行われる」と発言した。
さらに同氏は、ウクライナはEUへとできるだけ早く加盟せねばならないとし、重要な改革原則と必要な決定は、「強靭性計画」の欧州統合に関する追加文書に記載されていくと伝えた。
また同氏は、強靭性計画は、国家と市民社会の緊密な協力なしでは実現不可能だとし、その文書はビジネス界、文化コミュニティ、メディア関係者、人権保護活動家、市民社会を参加させた上で細部を策定していくと発言した。同氏は、「私たちには、国ウクライナの社会っ勢力の間の共通の法、コミュニケーション、アドボカシー作業が必要だ。ロシア連邦に対する法廷、ロシア資産の接収、効果的な対露制裁、ウクライナ宗教面の100%の独立の保証、ウクライナの文化外交、偽情報対策と当たり前な国家コミュニケーションの構築、それから私たちの国家機関の必要な改革だ。それら全て、市民社会の効果的な協力なくしては、絶対的に不可能だ」と強調した。
そして同氏は、国家の決定は、最善の専門的知識を基本に準備されねばならず、そのためには国家機関と社会が共通作業を行う然るべきフォーマットがすでに築かれていると伝えた。さらに同氏は、「そのようなフォーマットはもっと必要だ。ウクライナ国内の『強靭性計画』は、市民社会、ビジネス界、文化コミュニティ、メディア関係者、人権保護活動家の参加を得た上で細部まで策定される」と発言した。
その他同氏は、ウクライナの国益のために活動するウクライナ人のための多重国籍制度が必要だと発言した。同氏は、「ウクライナにおける人的資源を維持するために、今どのような具体的な決定が発表されるべきだろうか? ウクライナには、多重国籍制度が必要だ。ウクライナ人はすでグローバルなネイションであるという現実を認めねばならない。私たちは彼らの権利、全てを制限しようとすべきでなく、ウクライナの国益のために彼らを導くべきなのだ」と述べた。
そして同氏は、国外にいるウクライナ人のための政策を強化すべきだとし、「私たちは、ウクライナ人団結省」を作らねばならないと発言した。その際同氏は、同省は「グローバルな何百何千万のウクライナ人コミュニティに関することを扱っていく」とした上で、年内に大臣候補を提示すると発言した。
さらに同氏は、ウクライナは外交を再編せねばならないとし、その変更も年内に行われると述べた。同氏は、「それは、私たちの外交活動の様々な側面に関係する。とりわけ、財政面と人員面だ。今、私たちはそれを外相と一緒に作業している。年内に、ウクライナの大使の交代が行われる。特にG7諸国に注意を払っており、またウクライナ大使の全ての空席を埋める。全て年内だ」と伝えた。
これに先立ち、ゼレンシキー大統領は14日、来週ウクライナ国内向けに10項目からなる「強靭性計画」を発表すると発言していた。
また、10月23日、ゼレンシキー大統領は、同国の市民社会の代表者たちと会談し、国内の様々な問題について協議を行なっていた。その際同氏は、同氏は、同会談では「勝利計画」と団結の必要性について協議したとし市民社会代表者に「国内の行動計画の策定に加わるよう」提案していた。
写真:大統領府